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最近のアイスクリーム事情

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最終更新日:2010年6月3日

最近のアイスクリーム事情

2010年6月

(社)日本アイスクリーム協会 アイスクリーム類及び氷菓公正取引協議会

事務局長 和氣 孝

 

はじめに

 子供から大人まで人気の高い、アイスクリーム。比較的安価で、満足度も高いお菓子の一つである。そのアイスクリーム製造には、乳原料に加え、砂糖は欠かせない存在だ。ここではアイスクリームの製造工程、現在の市場動向、またアイスクリームの今後の展望について、述べていく。

1.アイスクリームの製造と砂糖の役割

(1)原料

 一般に、アイスクリームは風味とボディ・組織をつくる乳原料や糖類、抹茶やココアなどの風味原料、そして大量生産や流通・保管の過程で当初の品質を維持するために必要な乳化剤や安定剤などでできている。その他、水と空気も製品の形成に重要な役割を果たしている。
 
 乳原料は主に乳脂肪分の供給源としてクリームやバターが、無脂乳固形分の供給源として脱脂粉乳が使われる。また、乳脂肪分の代替として、ヤシ油やパーム油などの植物油脂も使われる。
 
 糖類は砂糖や異性化糖、水あめなどが使われる。これらは甘みを付与するとともに、固形分としてアイスクリームの組織やボディをつくる重要な役割を果たす。
 

(2)ミックス調合

 これらの原料はタンクの中で混合溶解後、均質化されることにより、原料に含まれる脂肪分は1マイクロメートル程度の小さく均一な粒子となる。次に原料中の雑菌を死滅させるために加熱殺菌処理が行われる。一般には85度で20秒程度のHTST(高温短時間)殺菌が行われる。その後、5度以下に冷却され、原料ミックスができあがる。

(3)フリージング

 次に、この原料ミックスはフリーザーにて凍結・かくはん(フリージング)され、ソフトクリーム状態のものができ上がる。
 
 アイスクリーム製造の特徴的なところは、このフリージング工程において空気が混合され、かくはんと急激な凍結によりミックス中の水分が凍結され、小さな氷粒と気泡とその他の成分が混じった均一な状態(ソフトクリーム状態)にするところにある。急速に凍結されることにより、瞬時に微細な氷結晶がつくられ、混合された細かな空気とともにアイスクリームに柔らかな口当たりと滑らかな口どけを与える。その後、カップ容器やコーンなどに充填され製品となる。
 
 フリーザーから出されたソフトクリーム状態のものは、その水分の50〜60%程度が凍っているに過ぎない。これをさらに−30〜−40度の強風の吹く急速凍結庫に入れ、残った水分の大半を凍結させた状態にする。これを硬化と言う。こうすることでアイスクリーム中の水分の90%以上が凍結し、硬く安定した状態となり、保管や輸送が可能な状態となる。
 
 
 

(4)氷点降下と砂糖の役割

 アイスクリームには甘味を付与するために砂糖が広く使われる。また、コストと低温での甘味質を評価して、果糖・ぶどう糖を主成分とする異性化糖もよく用いられている。また、固形分を補うため、でん粉を酵素分解して作られるマルトースを主体とする水あめも使われる。
 
 砂糖の役割は大きく分けて二つある。一つは甘さの付与であり、もう一つは氷点降下作用によるアイスクリーム中の凍結状態のコントロールである。
 
 アイスクリーム中の水分は完全に凍結しているわけではなく、氷結点降下により未凍結の部分が存在する。この未凍結の部分を作るのが砂糖などの糖類と乳原料に由来する塩類などである。未凍結の部分があるため、アイスクリームには柔らかさがあり、口に含んだとき、温度が上昇するとともに速やかに微細な氷が融け、滑らかな口どけが生まれる。
 
 一般に砂糖の含有量が多くなると氷結点降下により、氷結率が下がり、アイスクリームは柔らかくなる。また、砂糖の半分の分子量である果糖やぶどう糖を使用すれば、より氷結点が下がり、アイスクリームは柔らかくなる。従って、加える糖類の種類や量はアイスクリームの硬さやスプーンでのすくいやすさなどの物性に影響するため、アイスクリームショップやレストランなどで売られるディッピング(大型スプーンやディッシャーで皿やコーンに盛る)用のアイスクリームには特に重要である。
 
 
 

2.アイスクリーム市場の変遷

(1)アイスクリーム市場の特徴

 日本でアイスクリームの製造・販売を営む事業者は約300社あると言われている。当協会には約100社が加入し、会員企業の販売金額の合計は日本のアイスクリーム市場の97〜98%をカバーすると推定される。
 
 このうち、当協会の会員であり、全国規模で販売を行っている大手メーカー13社で業界全体の9割以上を占めている。一方、各社のシェアについてはトップメーカーでも17%を占めるに過ぎず、突出した存在はない業界と言える。
 
 
 
 
 このほか、主に店舗で製造・販売を行うジェラートショップは、当業界とは別に日本ジェラート協会をつくり、独自に活動を行っている。

(2)販売金額の推移

 アイスクリーム販売統計によると、アイスクリーム類の年間販売金額は1994年に4300億円の最高額を記録後、2003年まで毎年減少を続けた。しかし、2004年に回復に転じ、それ以降2008年までほぼ増加傾向で推移してきた。2008年は100円商品を中心に小売価格が2割程度値上げされ、販売金額は前年より増加して、3840億円となったものの、1994年のピーク時の9割程度にとどまっている。
 
 2009年は夏の天候不順と経済不況の影響を受け、わずかながら前年を下回ることとなった。また、販売物量はここ10年、80万キロリットル程度で、横ばい状態にある。
 
 
 他業界においても、アイスクリームと競合するデザート類ではチルドデザートやチョコレートを除いて、アイスクリームと同様の傾向を示している(図5)。
 
 

(3)商品多様化の歴史

 日本で本格的にアイスクリームの生産が始まったのは昭和30年代(1955年〜)に入ってからであり、当時はアイスキャンデーのような氷菓が中心であった。その後、カップアイスやモナカアイスなど多様な商品が生まれ、昭和50年代(1975年〜)に入ると高度経済成長に乗って大型容器のプレミアムアイスクリームやひと箱に複数個入ったマルチパック商品が増加し、生活の豊かさの演出に一役買った。また、全国的にアイスクリームショップやジェラートショップが生まれ、人々のライフスタイルに合わせてアイスクリームの販売方法も多様化した。
 
 その後、1994年をピークとして販売が低迷する中にあって、小型容器のスーパープレミアムアイスクリームはその品質力を武器に売上を伸ばした。
 
 世紀が変わり、生産、販売を主力商品に集中することにより商品力と収益力を改善し、低迷期を脱したアイスクリーム業界は、新たに菓子素材との組合せや、そのものが菓子としての特徴を強く持ったバラエティーに富んだ商品などを販売し出し、新たな成長期を迎えている。
 

(4)流通・販売の変化

 アイスクリームの流通・販売は時代とともに大きく変化してきた。当初はメーカーが貸与した専用ショーケースで販売する専売方式が主流であったが、新たなメーカーが参入することとなり、専売方式は廃れ、現在のような、いろいろなメーカーの多様な商品が一つのショーケースで販売されるようになった。その後、量販店やコンビニエンスストアの台頭により、アイスクリームの販売もこれらの比重が高くなり、同時に販売競争に拍車をかけることとなった。
 
 販売競争の激化は多様な商品の品揃えを推し進めたが、一方では過当競争により商品の短命化と頻繁な改廃に繋がった。さらに、商品の安売りはメーカーを疲弊させ、次第に商品を魅力のないものにしていった。そして、顧客のアイス離れを起こし、市場の収縮を招く要因となった。
 
 
 

3.アイスクリームの将来

 当協会が発表している「アイスクリーム白書」によると、アイスクリームはお菓子や飲み物を対象とした好きなデザート調査の中で、毎年人気ナンバーワンに選ばれている。まさにアイスクリームは不動の「キング・オブ・デザート」である。また、アイスクリームが好きな理由を聞くと、「美味しい」こと、「形やフレーバーがたくさんある」こと、そして、「手軽に買え、手軽に食べられる」ことがあげられている。つまり、他のお菓子やデザートと比較してアイスクリームは、価格の割にパフォーマンス(顧客の満足度)が高いと思われる。
 
 低迷期を脱したアイスクリーム業界は、近年、さらに商品の品質とパフォーマンスを高め、多様な商品を品揃えするため、新しい製造ラインや新工場を建設する動きが活発化してきた。日本社会は少子・高齢化、人口の減少とアイスクリーム業界にとっては逆風が吹いているが、これまで購買層としてあまり意識されてこなかった高齢者の好みに合った商品や、バラエティーに富んだ商品を開発するとともに、顧客へのアピールや売場作りの工夫を重ねて行けば、キング・オブ・デザートとして5000億円の市場が開けてくると考えている。
 
 
 
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