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平成23年産甘味資源作物(さとうきび)要件審査結果の概要等について

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最終更新日:2012年2月10日

平成23年産甘味資源作物(さとうきび)要件審査結果の概要等について

2012年2月

特産業務部砂糖原料課

はじめに

 当機構では、糖価調整制度の変更に伴い、平成19年産から一定の要件を満たす甘味資源作物(さとうきび)生産者に対し、農業所得の確保や経営安定を図るため交付金を交付しています。

 平成23年産甘味資源作物生産者要件審査の申請については、平成23年7月1日から9月30日までの間に受付を行いました。本稿では、審査結果の概要等について取りまとめましたので報告します。

 A−5(注4)の特例措置は21年産において終了しましたが、1)「防除」、「中耕・培土」を基幹作業の項目に追加、2)共同利用組織・受託組織等の面積要件を収穫作業面積から基幹作業面積に変更など生産者交付金交付対象者要件の見直しに加え、共同利用組織の設立や基幹作業受委託の推進など、本則要件への移行のための関係各者による取り組みがなされてきたところであります。

1.生産概況

 平成23年産のさとうきび生産は、鹿児島県については、春の低温による初期生育の遅れ、奄美地域を中心とした5月末の台風2号、8月上旬の台風9号による葉部損傷や塩害、8月から9月の干ばつやメイチュウ被害などの影響によって、さとうきび生産量は51万4000トン(前年比79%)と大幅減少の見込みで、奄美大島と与論島では、それぞれ前年比69%、60%と、特に大きく減少する見込みとなっております。

 また、沖縄県についても、春の低温、日照不足、少雨の影響による初期生育の遅れ、鹿児島県同様に5月末の台風2号、8月上旬の台風9号による葉部損傷や塩害、8月後半の宮古・八重山地域における干ばつ、9月中旬の台風15号の大東地域におけるきびの倒伏や葉部損傷などの影響によって、さとうきび生産量は65万トン(前年比79%)と大幅な減少となる見込みです。
 
 

2.要件審査申請状況

 23年産の要件審査申請者数で平成23年12月19日までに対象生産者として登録した者は2万4830人でした。そのうち鹿児島県が8982人、沖縄県が1万5848人となっており、22年産と比べ244人(1.5%)減少しました(鹿児島県 2人減、沖縄県 242人減)。
 
 

(1)鹿児島県

 鹿児島県における対象生産者数は8982人で、22年産に比べ2人減少しています。要件区分別にみるとA−1が1124人(構成比12.5%)、A−2が435人(構成比4.8%)、A−3が1851人(構成比20.6%)、A−4が5572人(構成比62.0%)となっており、A−4が減少しA−3が増加しています。

 畜産や他作物などとの複合経営が比較的多い沖永良部島はA−1の生産者が多く、23年産においても若干増加しています。

 22年産にA−5の要件の終了に伴って共同利用組織の要件が変更されたことにより、A−3の生産者は大きく増加しましたが、23年産においても引き続き増加しており、特に、徳之島では前年度比200人以上の大幅な増加となりました。また、共同利用組織が新たに設立された沖永良部島では、前年度のA−3に該当する生産者数は0でしたが、23年産では主にA−4からの移行により239人増加し、同島の2割を占めるまでになっています。

 年代別にみると60代以上の生産者の割合が約53%となっており、特に奄美大島では65%を超えています。

 収穫面積については、これまで作付地の規模拡大が着実に進んできたのに対し、23年産においては、1ha以上の生産者の割合が40.8%と、22年産と比べて約2ポイント減少しております

(2)沖縄県

 沖縄県における対象生産者数は1万5848人で、22年産に比べ242人減少しています。

 この減少の理由として、伊江島で生産された原料が22年産までは沖縄本島の分みつ糖工場に搬入されていたものが、23年産からは新たに稼働する伊江島の含みつ糖工場に搬入されるため、甘味資源作物交付金交付の対象外となったことがあげられます。この伊江島の対象外となった生産者は182人で、沖縄県全体の減少分の約75%を占めています。

 要件区分別にみるとA−1が369人(構成比2.3%)、A−2が1403人(構成比8.9%)、A−3が8,075人(構成比51.0%)、A−4が6001人(構成比37.9%)となっており、A−4が減少しA−3が増加しています。

 鹿児島県同様、沖縄県でも22年産にA−5の特例措置の終了に伴って共同利用組織の要件が変更されたことにより、A−3の生産者は大きく増加しましたが、23年産においても引き続き増加しております。
 
 
 地域別では、南大東島では収穫作業の委託によるA−4の生産者が約90%を、北大東島ではA−1の生産者が70%を超えており、22年産と同じ傾向を示しています。また、伊良部島を含めた宮古地域では、手刈り収穫によるさとうきびの搬出作業の委託による生産者がA−4で申請している状況です。

 年代別にみると、60代以上の生産者の割合が約61%で、鹿児島県より約8ポイント多くなっており、特に本島地域では65%を超えています。収穫面積については1ha未満の生産者の割合が約80%となっています。これらの多くは、沖縄本島の生産者で、地域が都市化されているため1人当りの面積が小さいのが特徴です。22年産と比べてもほとんど変化が見られません。
 
 
 
 

おわりに

 さとうきびは、台風、干ばつの常襲地帯として代替作物に乏しい自然環境下にある鹿児島県南西諸島や沖縄県における基幹作物であり、その生産状況が関連産業に与える影響は大きく、地域経済にとって重要な作物となっています。台風、干ばつ、害虫などの被害による平成23年産のさとうきび不作を踏まえて、平成24年度の国による対策として、病害虫防除支援や農業機械リースの導入支援などが実施されることになっています。

 当機構においても、関係者のご協力のもと、今後も申請生産者の要件審査や交付金交付を的確かつ円滑に実施し、甘味資源作物生産者の経営安定に資するよう努めてまいります。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713