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沖縄県における平成24年産さとうきびの生産状況について

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最終更新日:2013年9月10日

沖縄県における平成24年産さとうきびの生産状況について

2013年9月

沖縄県農林水産部糖業農産課

【要約】

 沖縄県における平成24年産のさとうきびは、本土復帰以後の最低生産となった平成23年産に対して、一定の回復はみられるものの、8月、9月に相次いで本島地域に襲来した大型台風や、メイチュウ類(イネヨトウ)の被害などにより、単位収量、生産量ともに本格的な回復には至っていない。

1.さとうきびの位置付け

 沖縄県におけるさとうきびは、県全体の農家数の約8割、耕地面積の約5割、農業産出額の約2割を占める基幹作物であり、特に多くの離島を抱える本県において、製糖業とともに地域経済、社会を支える重要な作物となっている。また、さとうきびは他作物に比べて比較的台風や干ばつに強く、離島地域においては代替の効かない作物でもある。

 沖縄県では、国の「さとうきび増産プロジェクト基本方針」に基づき、各島別及び県段階における生産目標や取り組み方向を示した「さとうきび増産計画」を策定するとともに、平成24年度から新たにスタートした「沖縄振興特別措置法」に基づき、「沖縄県21世紀ビジョン基本計画」を平成24年5月に策定し、生産基盤の整備、安定生産技術の開発および普及、機械化や地力増強、病害虫防除対策の推進、生産法人など担い手の育成、優良品種の開発・普及など総合的な施策展開による生産振興を推進している。
 

2.平成24年産さとうきびの生育概況

(1)沖縄地域(沖縄本島・伊平屋島・伊是名島・伊江島・粟国島・久米島・南大東島・北大東島)
 生育初期は、4〜6月に降雨が多く日照時間が平年より少なかったことから、発芽や生育が遅れ気味に推移した。その後、気象条件はおおむね平年並みに順調に推移したこともあり、生育は良好となった。なお、6月初旬に台風3号、4号が通過したことにより、大東地域において一部の圃場で塩害が生じた。

 生育旺盛期は、8〜9月にかけて台風11号、15号、16号、17号が相次いで接近し、沖縄本島北部地域を中心として茎の折損や葉の裂傷などの被害に加えて、台風通過後の降雨が少なかったことから塩害が発生するなどにより、生育が停滞した。

 登熟期には、相次いで襲来した台風の影響により生育阻害、登熟の遅れが生じた。

(2)宮古地域(宮古島・伊良部島・多良間島)
 生育初期は、降雨が多く日照時間も平年に比較してやや少ない状況となり、生育は緩慢に推移した。

 分けつ期には、平年より早い梅雨入りとなり適度な降雨により生育は順調に推移した。生育旺盛期には、台風9号、14号、17号が接近し、葉の裂傷や塩害などの被害により生育阻害を生じた。特に台風17号では、一部圃場において冠水や土砂・新植夏植苗の流失が生じた。

 登熟期は、台風の影響により生育阻害、登熟の遅れが生じたものの生育は回復し、生産量は平年並みとなった。

(3)八重山地域(石垣島・小浜島・西表島・波照間島・与那国島)
 生育初期は、2〜3月に適度な降雨に恵まれ、降水量、気温、日照時間も平年並みとなり、生育も順調に推移した。

 分けつ期から生育旺盛期にかけては、梅雨明け後からやや干ばつ傾向となったものの、7月後半から適度な降雨があり生育は順調に推移した。

 なお、9月下旬に接近した台風17号の被害は軽微であったが、降雨が少なく若干の生育の遅れが見られた。

 登熟期には、懸念された台風による生育阻害もなく、おおむね順調に推移したものの、生産量は平年をやや下回る状況となった。
 

3.平成24年産さとうきびの生産状況

 平成24年産さとうきびの収穫面積は、平成23年産より706.7ヘクタール増加し1万2996ヘクタール、生産量は13万4371トン増加し67万5346トン(前年比124.8%)、10アール当たり収量は794.6キログラム増加し、5,197キログラム(平年比86%)となった(表2、3、4)。特に宮古地域で大きく増産し、生産量は前年比161パーセント、10アール当たり収量で前年に比較し2,053キログラム(平年比93%)の増加となった。

 なお、各地域別生産量では、沖縄地域(周辺離島を含む)が全体の38パーセント、宮古地域が48パーセント、八重山地域が14パーセントとなっている。

 作型別では、平成23年産より夏植栽培が168.4ヘクタール増加し5,450ヘクタール(構成比41.9%)、春植栽培が104.5ヘクタール増加し1,865ヘクタール(同14.4%)、株出し栽培が433.7ヘクタール増加し5,681ヘクタール(同43.7%)となった(図2)。

 品種構成は、農林15号が17.2パーセントを占め、次いで農林21号が13.1パーセント、農林8号が11.0パーセント、農林22号が3.6パーセントとなった(図3)。
 
1)沖縄地域
 収穫面積は6,459ヘクタールで平成23年産より28.7ヘクタール減少したものの、10アール当たり収量は3,971キログラム(平年比74%)、生産量は25万6500トン(前年比102.7%)で、平成23年産より6,650トン増加した。

 作型別では、66パーセントを占める株出栽培が209ヘクタール減少し4,281ヘクタール、生産量が2,866トン減少し16万6840トンであった。

 品種構成は、農林8号・農林21号がそれぞれ17パーセントを占めており、次いで早期高糖性品種の農林15号が普及しており、近年、農林22号が増加している。

2)宮古地域
 収穫面積は4,705ヘクタールで平成23年産より547.5ヘクタール増加し、10アール当たり収量は6,919キログラム(平年比93%)、生産量は32万5567トン(前年比160.9%)で平成23年より12万3223トン増加した。

 作型別では、近年、土壌害虫に有効な薬剤の普及により株出栽培が増加傾向にあり、平成24年産は915ヘクタール(前年比203%)、生産量は4万8250トン(同282%)と大幅に増加した。

 品種構成は、農林15号が19パーセント、次いで宮古1号、近年、農林21号が増加傾向にある。

3)八重山地域
 収穫面積は1,832ヘクタールで平成23年産より187.9ヘクタール増加し、10アール当たり収量は5,093キログラム(平年比82%)、生産量は9万3279トン(前年比105.1%)で平成23年産より4,497トン増加した。

 作型別では、27パーセントを占める株出栽培が179ヘクタール増加し486ヘクタール、生産量は4,680トン増加し1万9700トンであった。

 品種構成は、農林15号が45パーセントを占め、次いで農林8号が13パーセント、近年、早期高糖品種である農林22号が増加傾向となっており11パーセントを占めている。

4.ハーベスタによる収穫状況

 さとうきびの労働時間の大半を占める収穫作業の省力化を図るため、これまで国庫補助事業などを活用したハーベスタの導入が推進されてきた。さらに、県では既存のハーベスタの導入に加え、刈り取り機、脱葉施設の導入を進め、地域に応じた収穫体系を含む機械化一貫作業体系の確立を推進している。

 平成24年産では、県内全域において252台のハーベスタが稼働しており、機械収穫率は収穫面積の55パーセントとなっている。

5.製糖工場の操業状況

 沖縄県の製糖工場は、分みつ糖工場が9社10工場(8島)、含みつ糖工場が4社8工場(8島)が操業している(表6)。

 分みつ糖工場の平成24年産原料処理量は平成23年産より12万1064トン増加し62万1122トン(前年比124%)となり、買入糖度は前年より0.19度低い14.18度となった。

 含みつ糖工場の平成24年産原料処理量は、平成23年産より1万3350トン増加し5万4224トン(同133%)となった。
 

6.おわりに

 沖縄県では平成27年産を目標とする「さとうきび増産計画」及び平成33年を目標とする「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に基づき、各種の生産振興施策・事業を展開しており、本土復帰以後最低の生産となった平成23年産に対して、平成24年産は一定の生産回復が図られた。

 しかしながら、相次いで襲来した台風やメイチュウ類の被害により生産の回復は途上にあり、一層の取り組み強化が求められている。

 このようなことから、平成25年度から「さとうきび増産基金事業」の活用による生産対策を推進し、関係機関・団体と一体となった早期の生産回復、増産への取り組みを強化し、本県さとうきび生産農家と製糖企業の経営の安定化に向けて取り組んでいるところである。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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