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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年3月時点予測)

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最終更新日:2014年4月10日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向 (2014年3月時点予測)

ブラジル

 
【生産動向】
2013/14年度サトウキビは増産となるも、砂糖仕向け割合は前年度よりも減少
  2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と前年度から増加の見込みである。また、サトウキビの新植停滞により2年連続で単収が低下していたが、今年度は前年度から1ヘクタール当たり4.1トン増とやや改善が見込まれている。この結果、サトウキビ生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から大幅な増加が予測されている。一方、砂糖生産量は、サトウキビの砂糖仕向け量の減少(前年度49.5%から4.3ポイント減)や1トン当たりの回収糖分の値(TRS)の低下(前年度135.6kgから2.2kg減)見込みにより、3930万トン(粗糖換算、同2.3%減)の見通しである(表2)。

 サトウキビ産業協会(UNICA)によると、3月1日現在、サトウキビ生産量の9割を占める中南部地域のサトウキビ生産量は5億9619万トン(前年度同期比12.0%増)と前年度同期からかなりの増加となった一方、砂糖生産量は3427万7000トン(同0.6%増)と前年度同期から微増となっている。これは、同地域での現時点のサトウキビの砂糖仕向け割合が、前年度同期から4.3ポイント低い45.2パーセントとなっていることや、TRSが前年度同期比1.7パーセント減の133.3キログラムと減少していることによるとされている。

 同国の中南部地域(サンパウロ州、パラナ州、ミナスジェライス州、ゴイアス州、マットグロッソ・ド・スル州)では、昨年11月以降、高温および降水量不足が続いている。UNICAは、2月17日、この状況を受け、2014/15年度収穫予定のサトウキビ3600万トンが失われたと発表している。 3月に入り、多少の降雨があったものの、依然、干ばつ傾向は続いており、降水量は例年に比べ低水準となっている。
 
【貿易・政策動向】
2014年からエタノール生産への融資制度が開始予定

 2013/14年度の輸出量は、2630万トン(粗糖換算、前年度比3.5%減)と減産見込みにより、前年度から減少の見通しである。2014年1月の粗糖・白糖輸出量は、213万8000トン(前年同月比6.9%減)となった(図8)。主要輸出先は中国、アラブ首長国連邦、マレーシアであった。

 国立社会経済開発銀行(BNDES)と調査・研究事業融資機構(FINEP)は、サトウキビ原料のエタノール生産およびその他の化学製品の産業を発展させることを目的とした融資制度「PAISS」として、2014年から2018年までの間に、14億8000万レアル(621億6000万円:1レアル=42円)を拠出することとした。製糖工場の機械設備費と遺伝子組み換えサトウキビ品種の開発を対象とした融資であり、利子は3年間で4パーセント、返済期間は10年間としている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, March 2014”
 

インド

 
【生産動向】
収穫面積の減少や製糖開始の遅れにより、2013/14年度砂糖生産量は減少見込み

  2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、前年度比6.2パーセント減の496万ヘクタールが見込まれ、前回予測(2014年2月)から32万5000ヘクタールの下方修正となった。それに伴い、サトウキビ生産量も下方修正され、3億5212万トン(前年度比4.9%減)とされた。一方、砂糖生産量は、サトウキビの減産見込みや後述の製糖開始の遅れにより2600万トン(粗糖換算、同4.9%減)と前年度から減少の見通しとなった(表3)。

 インド砂糖製造協会(ISMA)による最新の報告では、3月15日までの同年度砂糖生産量は1938万トン(白糖換算、前年度同期比8.5%減)と前年度同期からかなりの減少となっている。これは、サトウキビにかかる政府の適正価格を上回る州政府の勧告価格の決定に対し、州政府と製糖工場の話し合いが長期化し、製糖開始が遅れたためである。同日までの主要生産州の砂糖生産量は、マハラシュトラ州で641万トン(白糖換算、同11.3%減)、ウッタルプラデーシュ州で507万トン(白糖換算、同13.9%減)となっている。
 
【消費・貿易・政策動向】
インド政府輸出業者へ補助金交付を承認、各国から問題視

  2013/14年度の砂糖消費量は、2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と前年度から増加し、3年振りにわずかながら消費量が生産量を上回る見通しである。

 一方、輸出量は150万トン(粗糖換算、同29.4%増)の見込みとなっている。2013年12月の粗糖・白糖輸出量は33万7000トン(前年同月比153%増)となり、主要輸出先はイラン、アラブ首長国連邦、スリランカであった(図9)。かつて最大の輸出先国であったバングラデシュは、同国内の砂糖生産が拡大していることから同国向けの輸出量が激減しており、2013年の粗糖・白糖輸出量は161万9000トン(前年比53.2%減)と前年から大幅に減少した(図10)。同年の主要輸出先国は、スーダン、アラブ首長国連邦、スリランカであった。

 インド政府は2月、2月と3月のみ砂糖1トン当たり3,333インドルピー(6,033円、1インドルピー=1.81円)の輸出補助金の交付を承認したが、これに対し、豪州、コロンビア、ブラジルはこれをWTO協定違反であるとし、4月以降も継続するのであれば補助金額と期間を明示するよう要求している。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, March 2014”
注 :2月末日TTS相場
 

中 国

 
【生産動向】
てん菜歩留まり低下により、2013/14年度てん菜糖生産量は前年度から大幅減の見込み

  2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、200万ヘクタール(前年度比3.5%増)、サトウキビ生産量は1億3185万トン(同3.5%増)といずれも増産が見込まれていることから、甘しゃ糖生産量(国内砂糖生産の約9割を占める)は1390万トン(粗糖換算、同6.8%増)の見通しである。一方、てん菜収穫面積は、31万ヘクタール(同3.7%増)、てん菜生産量は1304万トン(同3.5%増)と増産が見込まれているものの、歩留まりが前年度の9.4パーセントから3.3ポイント低下との見通しから、てん菜糖生産量は79万4000トン(同32.7%減)となっている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1469万トン(粗糖換算、同3.5%増)と見込まれている(表4)。また、中国砂糖協会(CSA)によると、2014年の春節は1月下旬に始まったことにより、2月の工場稼働日数が多くなったことから、2月の砂糖生産量は270万2000トンと前年同月に比べ10.2パーセントの増加となっている。
 
【消費・貿易・政策動向】
2014年も砂糖備蓄プログラムは継続

  2013/14年度の砂糖消費量は、1620万トン(粗糖換算、前年度比2.8%増)と見込まれている。

 一方、輸入量は、砂糖の国内在庫がだぶつき気味であることから前年度から大幅に減少すると予測されていたものの、今年度に入って最初の2カ月間の輸入量は前年同期の2倍近くとなったことから、330万トン(粗糖換算、同10.5%減)と前回予測から上方修正された。2014年2月の粗糖・白糖輸入量は16万4000トン(前年同月比103%増)となり、主な輸入先はブラジル、韓国、タイであった(図11)。

 同国で2011年から行われている砂糖備蓄プログラムの効果が低いことから、政府は廃止を検討するとしていたものの、中国国家発展改革委員会(NDRC)は2014年も引き続きこのプログラムを行うことを発表した。現地報道では、今年6月までに、広西チワン自治区に次ぐ主要サトウキビ生産省である雲南省で、80万トンの精製糖の買い上げを予定しているとしている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, March 2014”
 
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