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3.世界の砂糖需給に影響を与える国々の動向 (2014年5月時点予測)

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最終更新日:2014年6月10日

3.世界の砂糖需給に影響を与える国々の動向 (2014年5月時点予測)

2014年6月

ブラジル

 
【生産・貿易動向】
新年度の製糖は開始されるも、中南部地域では4月の砂糖生産量は干ばつにより前年度同期比減

 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、889万ヘクタール(前年度比4.8%増)と増加が見込まれている(表2)。また、新植の停滞から低下していたサトウキビの単収は、前年度から4.1トン増の1ヘクタール当たり73.5トンとやや改善の見込みである。このため、同年度のサトウキビ生産量は6億5380万トン(同11.0%増)と前年度から増加見込みである。一方、砂糖生産量は3930万トン(粗糖換算、同2.3%減)と見込まれている。これは、サトウキビが増産となる一方、砂糖仕向け割合が前年度の49.6%から4.4ポイント減少し、45.2%となったことが要因である。

 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は5月1日、2014/15年度4月分の製糖実績報告を発表した。この中で、サトウキビ生産量の9割を占める中南部地域で続いた干ばつの影響が伝えられている。これによると、過去80年間で最悪とされる昨年から続く干ばつによる影響により、サトウキビ1トン当たり歩留まりは36.6キログラム(粗糖換算、前年度同期比10.3%減)と前年度から大幅に減少した。また、砂糖仕向け割合が35.7%と前年度から3.7ポイント減少したことなどから、同地域の砂糖生産量は147万5000トン(粗糖換算、同13.3%減)と前年度同期比で大幅減としている。また、干ばつによる製糖開始の遅れも、製糖実績が減少した要因の一つとしている。一方、同地域のエタノール生産量は16億4100万リットル(同1.1%増)と前年同期水準を維持しており、これは同国内のエタノール価格が2013年前半は低価格で推移していたものの、9月以降、堅調に推移していることが要因であるとしている(図3)。
 
 主要生産地の減産により、ブラジル国内の砂糖生産の減産が見込まれることで、2013/14年度の輸出量は2707万トン(粗糖換算、前年度比0.6%減)と前年度から減少の見通しである。

資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, May 2014」
 

インド

 
【生産・消費動向】
主要2生産州での減産により、2013/14年度砂糖生産量は減少見込み

  2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、496万ヘクタール(前年度比6.2%減)と減少が見込まれている(表3)。収穫面積の減少に伴い、サトウキビ生産量も前年度比減の3億5212万トン(同4.9%減)と見込まれている。一方、砂糖生産量は、サトウキビの減産見込みから2600万トン(粗糖換算、同4.9%減)と前年度から減少の見通しとなった。

 インド砂糖製造協会(ISMA)の最新の生産報告によると、4月15日までの同年度の砂糖生産量は2315万トン(白糖換算、前年度同期比4.1%減)と前年度同期よりも減少している。砂糖生産量が前年度よりも減少していることから、今年度の製糖を終了した工場は前年度よりも多くなっている。同日までの主要生産州の砂糖生産量は、マハラシュトラ州で747万トン(白糖換算、同5.6%減)、ウッタルプラデーシュ州で626万トン(白糖換算、同14.1%減)とかなり大きく減少した(図4)。ウッタルプラデーシュ州の減産要因は、サトウキビの単収が低水準となっていることに加え、政府が発表したサトウキビ適正価格を上回る州政府の勧告価格に対し、州政府と製糖工場との話し合いが長期化したことで製糖開始の遅れにつながったとされている。一方、カルナータカ州の砂糖生産量は、モンスーンによる降雨に恵まれたことから単収および歩留まりが増加し、405万トン(白糖換算、同20.9%増)と前年度同期からかなり大きく増加した。

 一方、2010/11年度以降、堅調に推移している同国の砂糖消費量は、2013/14年度は2609万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と前年度から引き続き増加が見込まれており、国内砂糖生産量の減少も相まって、4年ぶりにわずかながら消費量が生産量を上回る見通しである。
 
【貿易・政策動向】
砂糖輸出補助金政策により、国内砂糖価格は上昇

  2013/14年度のインドの砂糖輸出量は、国内需給の緩和に伴う市場価格の下落抑制のため、150万トン(粗糖換算、前年度比29.4%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。インド政府は、砂糖の国内在庫量を減少させ国内砂糖価格を上昇させることを目的に、既に2月と3月の砂糖輸出に対し1トン当たり3333インドルピー(6199円:1インドルピー=1.86円)の輸出補助金の交付を承認している。この政策に対し、豪州などの主要砂糖生産国から強い非難を受けたところであるが、4月の砂糖卸売価格は1キログラム当たり35.79インドルピー(67円)と、今年度最低となった2月の価格(同34.28インドルピー(64円))を上回っており、同政府は、製糖企業からサトウキビ生産者へのサトウキビ代金支払遅延を解消する目的を達成できたとしている。

資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, May 2014」 
注:4月末日TTS相場
 

中国

 
【生産・消費動向】
てん菜糖生産量は減少するも、2013/14年度砂糖生産量は増加見込み

  2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、200万ヘクタール(前年度比3.5%増)と前年度から増加し、サトウキビ生産量は1億3185万トン(同3.5%増)と増産が見込まれている。このため、国内の砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖生産量は1390万トン(粗糖換算、同6.8%増)の見通しである(表4)。一方、てん菜収穫面積は31万ヘクタール(同3.7%増)、てん菜生産量は1304万トン(同3.5%増)と増産が見込まれているものの、てん菜糖生産量は79万4000トン(同32.7%減)と前年度から大幅な減産見通しとなっている。減産の要因として、低水準の糖度となったことによる歩留まり低下(前年度の9.4%から3.3ポイント低下)が挙げられている。この結果、今年度の同国全体の砂糖生産量は、1469万トン(粗糖換算、同3.5%増)と見込まれている。

 中国砂糖協会(CSA)の最新の報告(4月末)では、てん菜糖生産量は80万トン(前年度同期比33.3%減)と前年度同期より減少しているものの、甘しゃ糖生産量は1230万トン(同7.0%増)と増加していることから、4月末までの砂糖生産量は1310万トン(同3.0%増)となった。てん菜糖が減産となった要因として、前述の理由に加え、昨年8月下旬に起こったロシアとの国境付近を流れるアムール川の氾濫による洪水により、てん菜主要生産地である黒龍江省の製糖工場に被害が生じたことによるとされている。

 一方、需要拡大から堅調に推移している同国の砂糖消費量については、2013/14年度は1620万トン(粗糖換算、前年度比2.8%増)と見込まれている。
 
【貿易動向】
2013/14年度上半期の輸入量は前年度比倍増

  2013/14年度の砂糖輸入量は、砂糖需給の緩和に伴い国内在庫がだぶつき気味であることから、330万トン(粗糖換算、前年度比10.5%減)と前年度から大幅減と予測されている。しかし、2014年3月の砂糖輸入量は前年同月の2倍近くとなる41万3400トン(前年同月比100.2%増)と、3月単月の輸入量実績では過去最高となった。また、今年度上半期の輸入量は250万トン(前年同期比92.3%増)と堅調に推移していることから、今後、輸入見通しは上方修正される可能性がでてきている。

資料:Agra CEAS Consulting 「WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, May 2014」
 
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