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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年7月時点予測)

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最終更新日:2014年8月11日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年7月時点予測)

2014年8月

ブラジル

 
【生産・貿易動向】
2013/14砂糖年度の砂糖生産量は前年度比やや減少するも輸出量は同水準を維持

 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、889万ヘクタール(前年度比4.8%増)、サトウキビの生産量は単収が増加したことにより6億5380万トン(同11.0%増)と、前年度に比べかなり増加する見込みである。サトウキビが増産となる一方、サトウキビの砂糖仕向け割合が前年度の49.6%から8.0ポイント減少し、41.6%となったことにより、甘しゃ糖の生産量は、3950万トン(粗糖換算(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算で記載)、同1.8%減)と前年度に比べわずかに減少する見込みである(表2)。

 2013/14年度の輸出量は、粗糖が2199万トン(同1.8%増)と好調な一方、白糖が506万トン(同10.3%減)と減少し、輸出量全体では2705万トン(同0.7%減)と前年度とほぼ同水準を維持する見込みである。

 また、2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は前年度と同じと見込まれる。一方、2014年1月以降の干ばつの影響により、サトウキビの単収が1ヘクタール当たり71.3トン(同3.0%減)と見込まれることから、サトウキビの生産量は6億3419万トン(同3.0%減)、甘しゃ糖の生産量は3830万トン(同3.0%減)、砂糖輸出量は2500万トン(同7.6%減)の見通しである。

 一方、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)が公表した2014年4月から6月までの2014/15年度の製糖実績報告によると、ブラジル全体の生産量の9割を占める中南部地域のサトウキビ生産量は2億294万トン(前年同期比11.1%増)、同地域の甘しゃ糖の生産量は1034万トン(同15.5%増)、エタノール生産量は845万キロリットル(同10.1%増)と前年を上回るペースで生産しているものの、干ばつが後半に収穫されるサトウキビの生育に影響を及ぼしているため、今年度の生産量は前年度を下回るとの見方を示している。
 

インド

 
【生産動向】
2013/14年度の砂糖生産量は前年度比やや減少

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、502万ヘクタール(前年度比5.1%減)と前年度に比べやや減少したことから、サトウキビ生産量は3億5618万トン(同3.8%減)の見込みである。この減産を受けて、甘しゃ糖の生産量は2630万トン(同3.8%減)と前年度に比べやや減少の見込みである(表3)。

 一方、インド砂糖製造協会(ISMA)によると、6月末時点の2013/14年度の砂糖生産量(白糖換算)は2430万トンで、主要生産地であるマハラシュトラ州が770万トン、ウッタルプラデーシュ州が650万トン、カルナータカ州が415万トン、タミル・ナードゥ州が140万トン、グジャラート州が117万トンであった。

 また、2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、482万ヘクタール(同4.0%減)、サトウキビの生産量は3億5212万トン(同1.1%減)、甘しゃ糖の生産量は2600万トン(同1.1%減)の見通しである。これは6月に期待された降雨がなく、インド南部(タミル・ナードゥ州、カルナータカ州)で、は種の遅れが出ているものの、今後、降雨量が平年並みに回復する予測である。西部(マハラシュトラ州、グジャラート州)、北部(ウッタルプラデーシュ州)のは種が順調に進むことが見込まれているためである。
 
【政策動向】
サトウキビ農家に対する支払遅延対策

 精製糖の原材料製造コストが国内砂糖価格を上回る状態が続いており、製糖工場のサトウキビ農家に対する支払い遅延額は1200億インドルピー(2220億円:1インドルピー=1.85円(注1))に至っている。このため、政府は、砂糖産業に対する無利子融資支援(注2)や国内在庫削減による国内価格支持のための輸出補助金を実施している。

 ISMAによると、無利子融資支援は、6月現在までに350億インドルピー(648億円)が支出されたとのことである。

 また、輸出補助金の単価については、対米ドルの為替レートの変動に応じて金額が変動(対象数量は2年間で粗糖400万トン)することとなっており、4月、5月はルピー高により1トン当たり2277インドルピー(4212円)に引き下げていたが、6月、7月はルピー安が見込まれるため、再び同3300インドルピー(6105円)へ引き戻すこととした。なお、2〜5月までの粗糖の輸出量は48万トン程度にとどまっている。

 また、これに加え、政府は砂糖の輸入関税引き上げ(従価税15%から40%)を検討しているが、実行には至っていない。

(注1)6月末日TTS相場
(注2)返済期限は現在のところ定まっておらず、税制控除策と考えられる。精製糖企業が砂糖出荷の際に支払う物品税の3年間分に相当する660億インドルピー(1221億円)に加え、さらに2年間分に相当する440億インドルピー(814億円)の追加支援が検討されている。
 

中国

 
【生産動向】
2013/14年度の砂糖生産量は前年度比わずかに増加

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、197万ヘクタール(前年度比2.0%増)、サトウキビの生産量は1億2992万トン(同2.0%増)、国内の砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の生産量は1327万トン(同2.0%増)と、わずかに増加が見込まれる。(表4)。

 一方、てん菜の収穫面積は31万ヘクタール(同2.0%増)、てん菜の生産量は1285万トン(同2.0%増)、てん菜糖の生産量は120万トン(同2.0%増)と、前年度に比べわずかに増加が見込まれる。この結果、中国全体の砂糖生産量は、1448万トン(同2.0%増)と見込まれる。

 また、2014/15年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は197万ヘクタール(同0.2%増)、サトウキビの生産量は1億3015万トン(同0.2%増)、甘しゃ糖の生産量は1330万トン(同0.2%増)の見通しである。一方、てん菜の収穫面積は31万ヘクタール(同0.2%増)、てん菜の生産量は1287万トン(同0.2%増)、てん菜糖の生産量は120万トン(同0.2%増)の見通しである。
 
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