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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年10月時点予測)

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最終更新日:2014年11月10日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2014年10月時点予測)

2014年11月

ブラジル

 
【生産・貿易動向】
2014/15砂糖年度の砂糖生産量は、前年度比やや減少の見込み

 2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は前年度と同じ889万ヘクタールの見込みである。サトウキビの生産量は6億3419万トン(前年度比3.0%減)、甘しゃ糖の生産量は3830万トン(粗糖換算(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算で記載)、同3.0%減)、砂糖輸出量は2500万トン(同7.6%減)となる見通しである(表2)。

 一方、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA(注))が公表した2014/15年度の4月から9月までの製糖実績報告によると、ブラジル中南部地域のサトウキビ生産量は4億4154万トン(前年同期比0.2%減)で、エタノール向けが拡大したことや降雨の影響によりサトウキビの圧搾ペースが減退していることから、同地域の甘しゃ糖の生産量は2508万トン(同1.0%減)、エタノール生産量は19億6839万リットル(同4.2%増)となった。

(注)ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、ブラジル全体の甘しゃ糖生産量の9割を占める中南部地域を所管している団体。
 
 

インド

 
【生産動向】
2013/14年度の砂糖生産量はやや減少するも輸出量は大幅に増加

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、506万ヘクタール(前年度比4.4%減)と前年度に比べやや減少したことから、サトウキビ生産量は3億5889万トン(同3.0%減)、甘しゃ糖の生産量は2650万トン(同3.0%減)といずれもやや減少の見込みである。一方、輸出量は粗糖に対する輸出補助金の効果により303万トン(同179.0%増)と大幅に増加の見込みである(表3)。

 また、2014/15砂糖年度のサトウキビの収穫面積は、485万ヘクタール(同4.0%減)とやや減少するものの、現在のは種時期の天候が良いことから、単収は平均で1ヘクタール当たり76.7トン(同8.0%増)と全国的にかなり増加することが見込まれている。このことから、サトウキビの生産量は3億7243万トン(同3.8%増)、甘しゃ糖の生産量は2750万トン(同3.8%増)とやや増加する見通しである。

 9月17日にインド砂糖製造協会(ISMA)は衛星写真に基づく2014/15砂糖年度の主要生産地域の作付け予測を公表した。これによると降雨量が好調であった西部のマハラシュトラ州が104万ヘクタール(前年比1.0%増)、南西部のカルナータカ州が49万ヘクタール(同2.0%増)と増加が見込まれる。

 一方、降雨量が平年より少なかった北部のウッタルプラデーシュ州が231万ヘクタール(同8.0%減)、干ばつの影響を受けた南部のタミル・ナードゥ州が25万ヘクタール(同13.0%減)とかなり減少すると見込まれる。こうしたことから、ISMAでは、インド全体の作付面積を529万ヘクタール(前年比1.0%減)と前年よりわずかに減少すると見通している。
 

中 国

 
【生産動向】
2013/14年度の砂糖生産量は前年度比わずかに増加

 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、195万ヘクタール(前年度比0.8%増)、生産量は1億2835万トン(同0.8%増)、国内の砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の生産量は1350万トン(同3.7%増)とやや増加が見込まれている。(表4)。

 一方、てん菜の収穫面積は30万ヘクタール(同0.8%増)、生産量は1270万トン(同0.8%増)、製糖歩留まりが6.3%(同3ポイント減)と低水準になったことから、てん菜糖の生産量は80万トン(同32.0%減)と前年度に比べ大幅な減少が見込まれている。この結果、中国全体の砂糖生産量は、1430万トン(同0.8%増)と前年度並みの水準が見込まれている。ただし、この製糖歩留まりは過去5カ年平均の9.3%を大幅に下回るため、てん菜の生産量自体が少ないとも考えられる。

 また、2014/15年度のサトウキビの収穫面積は182万ヘクタール(同6.6%減)、生産量は1億1981万トン(同6.6%減)、甘しゃ糖の生産量は1224万トン(同9.3%減)の見通しである。一方、てん菜の収穫面積は28万ヘクタール(同6.6%減)、生産量は1185万トン(同6.6%減)、てん菜糖の生産量は111万トン(同38.2%増)の見通しである。

 砂糖の輸入量は、52万トンと前年度から約300万トンも減少すると見込まれている。これは、国内在庫が増加していることを背景に、国内産白糖工場出荷価格が輸入粗糖を原料として製造した白糖の価格と同水準まで下落しており、輸入粗糖の価格優位性が低下していることが要因と考えられる。 
 
【政策動向】
2014/15砂糖年度から価格支持制度を試行

 現地報道によると、砂糖在庫の増加に伴う国内価格の下落が続いていることから、中国政府は9月、「国家備蓄砂糖財務管理規則(注)」に基づいた備蓄制度から価格支持制度に移行する意向を公表した。

 この新たな価格支持制度は、砂糖の市場価格が政府の定める目標価格を下回った場合、その差額を生産者に対して直接補助金を交付、逆に目標価格を上回った場合はその差額を低所得者に砂糖購入補助金として交付する仕組みである。2014/15砂糖年度は、備蓄制度を維持しつつ、サトウキビの主要生産地である広西自治区と雲南省においてパイロット事業として導入する。なお、新制度の目標価格の水準などはまだ明らかにされていない。

(注)国家備蓄砂糖財務管理規則とは、国が毎年一定量の砂糖を備蓄用として買い付け、高騰時に放出して市場の均衡を保ち、国内の砂糖価格の安定化を図る目的で導入(1996年1月公布)。
 
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