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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2015年1月時点予測)

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最終更新日:2015年2月10日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2015年1月時点予測)

2015年2月

ブラジル

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大きく減少の見込み

 2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、前年度並みの889万ヘクタールの見込みである。主要生産地であるサンパウロ州では生育時期の干ばつが影響し、単収が低下するものとみられ、サトウキビの生産量は6億9249万トン(前年度比6.3%減)、甘しゃ糖の生産量は3700万トン(粗糖換算(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算)、同6.3%減)と減産となる見通しである。砂糖の輸出量は減産の影響が響き2349万トン(同13.2%減)と前年度に比べかなり大きく減少する見込みである(表2)。

 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA(注1))が公表した2014/15年度の4月から12月まで、ブラジル中南部地域の製糖実績報告によると、サトウキビ生産量は、干ばつの影響により、年度後半のサトウキビ収穫量が例年の水準を下回ることが見込まれていることから、5億6781万トン(前年同期比5.0%減)となる。また、エタノール生産量が堅調な国内需要を反映し、258億8624万リットル(同1.8%増)と増加したため、同地域の甘しゃ糖の生産量は3194万トン(同6.8%減)と減少した。

 サトウキビの減産により、1月以降、圧搾を続けている製糖工場は321(注2)のうちわずか16工場となり、サトウキビの圧搾量は、前年度の水準に比べ3000万トン弱の減少が見込まれる。

 また、主要生産地のサンパウロ州では記録的な干ばつの影響が長引き、次年度のサトウキビの生育への影響が懸念されており、2年連続で減産とみられている。

 ブラジルでは、ガソリンなどへの課税の強化を打ち出しているものの、最近の著しい原油価格の下落がサトウキビのエタノールへの仕向けに影響を及ぼす可能性が高まっている。

(注1)ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、ブラジル全体の甘しゃ糖生産量の9割を占める中南部地域を所管している団体。
(注2)2014年6月時点の製糖工場数。
 
 

インド

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量は前年度を上回る見込み

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みにとどまるものの、高単収苗の普及に伴い単収の向上が見込まれることから、サトウキビの生産量は3億4439万トン(前年度比0.9%増)、甘しゃ糖の生産量は2700万トン(同0.9%増)と前年度を上回る見込みである(表3)。

 一方で、砂糖の輸出量は粗糖に対する輸出補助金の適用が前年度末(9月)で終了したことから、150万トン(同45.3%減)と前年度に比べ大幅に減少する見込みである。ただし、政府は、在庫削減のため、今年度も輸出補助金を継続する方針を打ち出しており、継続された場合は、粗糖の輸出増につながるとの見方が強い。その場合、輸出補助金の対象数量は140万トンで、補助金単価はルピー安を反映し、前年度を上回る1トン当たり4000ルピー(8240円(12月末TTS:1ルピー=2.06円)となる見込み(注)。現在、内閣の承認待ちの状態である。

(注)前年度の輸出補助金の単価については、対米ドルの為替レートの変動に応じて2カ月ごとに変動することとなっており、2014年2〜3月は1トン当たり3333ルピー(6866円)、4〜5月は同2277ルピー(4691円)、6〜7月は同3300ルピー(6798円)、8〜9月は同3371ルピー(6944円)であった。
 
 

中 国

 
【生産・輸入動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸入量は大幅に減少の見込み

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は182万ヘクタールと前年度並みであるものの、サトウキビの生産量は、最大生産地である広西自治区が天候不順により大幅な減産となったことから、1億1225万トン(前年度比10.6%減)と前年度に比べかなりの減少が見込まれる。この減産を受け、甘しゃ糖の生産量は1222万トン(同10.6%減)の見込みである。

 てん菜の収穫面積は前年度並みの25万ヘクタール、てん菜の生産量は1235万トン(同2.4%増)、てん菜糖の生産量は83万トン(同2.5%増)の見込みである。この結果、中国の砂糖生産量は1305万トン(同9.9%減)と前年度に比べかなり減少する見込みである。

 砂糖の輸入量は、政府の輸入量の制限(注)により、271万トン(同33.1%減)と大幅に減少する見込みである。

 また、中国砂糖協会によると、10月から12月までの砂糖生産量(白糖換算)は、てん菜糖は前年度並みであるものの、広西自治区の甘しゃ糖が139万トン(前年同期比28.0%減)と大幅に減少していることを受け、221万トン(同37.8%減)と前年度を大幅に下回る水準で推移している(図3)。

(注)中国政府は2014年11月1日、関税割当(白糖ベース195万トン(枠内関税15%、枠外50%))の枠外で、安価な白糖の輸入量が増加した結果、国内価格が下落して国内産砂糖の在庫が増加する事態となっていることを受け、輸入割当制度を見直し、枠外で輸入できる業者に登録を義務付けることとした。さらに、2015年1月、枠外数量の上限を190万トンと設定し、実質385万トンの輸入数量の上限を定めた。
 
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