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4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2016年3月時点予測)

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最終更新日:2016年4月11日

4.世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2016年3月時点予測)

2016年4月

ブラジル
2015/16年度の砂糖生産量はやや減少、輸出量は前年度並みの見込み
 LMC Internationalの2016年3月現在の予測によると、2015/16砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、824万ヘクタール(前年度比6.3%減)とかなり減少するものの、単収の向上により、生産量は6億6000万トン(同4.4%増)と、やや増加が見込まれている。しかし、エルニーニョ現象の影響とされる過度な降雨でサトウキビの出穂現象が見られており、産糖量が減少していることから、砂糖の生産量は3651万トン(同4.4%減)とやや減少するものの、輸出量は2512万トン(同1.0%増)と前年度並みと見込まれている(表2)。

 また、ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)(注1)が発表した2015年4月〜2016年2月の生産実績によると、ブラジル中南部地域のサトウキビの生産量は、6億386万トン(前年同期比5.8%増)とやや増加したが、砂糖の生産量は3078万トン(同3.8%減)とやや減少した。これは、過度な降雨により、サトウキビ1トン当たりの産糖量が51.0キログラム(同9.0%減)と減少していることに加え、企業が短期間で利益を回収できるエタノールへの仕向け量を増やしていることが影響しているとみられている。同報告によると、同期間のエタノールの生産量は、2765万キロリットル(同6.0%増)となっている。また、輸出量も含めた同期間のエタノールの販売数量は、2704万キロリットル(同19.6%増)に達している。

 しかし、2月の含水エタノール(注2)の国内販売量は、106万キロリットル(前年同月比11.3%減)とかなり減少した。収穫の端境期にあるため、これまでの旺盛な消費により在庫量が低下し、エタノール価格が高騰していることが、要因として挙げられる。石油・天然ガス・バイオ燃料監督庁(ANP)によると、2月の含水エタノール小売価格(サンパウロ州)が、1リットル当たり2.68レアル(78円(2月末日TTS:1レアル=28.80円))と、ガソリン小売価格の同3.54レアル(103円)の70%(注3)を上回っている。このため、含水エタノールのガソリンに対する優位性は低下していると考えられる。

 3月初旬に、ブラジル政府は、タイ政府が国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払う補てん金は、間接的な輸出補助金に当たり、国際貿易協定に違反しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴する考えを明らかにした。なお、UNICAは、タイとインドの輸出補助金政策により、ブラジルの砂糖産業は年間12億ドル(1380億円(2月末日TTS:1ドル=114.62円))の損失を被ったと主張している。同政府によれば、国際市場における輸出のシェアは、過去4年で、ブラジルが50.0%から44.7%に低下した一方で、タイが12.1%から15.8%に上昇した。

(注1)ブラジル全体の砂糖生産量の9割を占める中南部地域を区域としている団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除きアルコール100%としたもので、ガソリンに混合して利用される。
(注3)一般的なフレックス車のエタノール燃料効率がガソリンの70%程度とされていることから、消費者の購入判断の基準となっている。


 
 
インド
2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅増の見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は、514万ヘクタール(前年度比0.7%減)とほぼ前年度並みにとどまる上、株出しほ場の増加により単収の低下が懸念されることから、生産量は3億5992万トン(同6.0%減)、砂糖の生産量は2804万トン(同8.1%減)と、ともにかなりの減少が見込まれている(表3)。

 インド砂糖製造協会(ISMA)が先ごろ発表した2015年10月〜2016年2月の生産実績によると、砂糖の生産量は、精製糖換算で1995万トン(前年同期比2.0%増)とわずかに増加した。主要生産地であるウッタル・プラデーシュ州やカルナータカ州は、それぞれ537万トン(同8.2%増)、361万トン(同8.9%増)と、ともにかなり増加した(図4)。これは、国内製糖企業が、2015/16年度に新設された輸出促進政策(注)への期待から圧搾開始期を早めたためとみられている。最大生産地であるマハーラーシュトラ州でも、昨年12月までは前年同期を上回るペースで圧搾を行っていたものの、干ばつの影響によりサトウキビの生産量が減少したことで、原料不足に陥り、すでに圧搾を終了させた国内製糖企業もあり、砂糖の生産量は、704万トン(同5.9%減)とやや減少した。

 砂糖の輸出量は、国際砂糖価格の上昇に加え、主にミャンマーへの輸出が増えていることなどから、302万トン(前年度比22.3%増)と大幅な増加が見込まれている。

 また、マハーラーシュトラ州政府は2月下旬、2015/16年度に生産した砂糖の12%を輸出した製糖企業に限り、サトウキビ購入に係る3%の州税(100キログラム当たり9ルピー(16円(2月末日TTS:1ルピー=1.80円)))を免除すると発表した。これにより、今後、輸出量は、上方修正される可能性もある。

 インド政府は、ガソリンへのエタノール混合率を現行の5%から10%へと引き上げる検討をしていることを2015年12月に発表したが、2015年のエタノール混合率が実質3%程度にとどまった現状を受け、2016年2月初旬に、改めてエタノール混合率5%の達成を目指すことを示唆した。政府は、大気汚染の問題からバイオ燃料の使用を推進しており、国家政策として2017年までにエタノール混合率を20%まで引き上げる目標を掲げていることから、国内製糖企業にエタノール生産を奨励している。そのため、政府は、負債に苦しむ国内製糖企業の収入源となるよう、すでに石油管理会社への販売価格となるエタノール参考卸売価格の設定や糖みつ由来のエタノールに係る付加価値税の免除を実施している。また、政府は、さらなる混合率引き上げのため、砂糖生産の副産物であるバガスや稲わらなどからのエタノール生産の奨励も始めている。

(注)インド政府が、負債に苦しむ国内製糖企業に対して新設した救済措置。輸出促進を図るため、2015/16年度の輸出割当数量を400万トンと設定し、過去3年の平均生産量を基に各工場に割り当てる。加えて、輸出割当数量の8割以上を輸出した当該企業に対し、生産者へ支払う原料代のうち、サトウキビ1トン当たり45ルピー(81円)を補?することを発表した。なお、この補?金の財源は、国内販売される砂糖への課税額引き上げ(100キログラム当たり25ルピー(45円)から200ルピー(360円))により、拠出されるものとみられる。
 



 
中 国
2015/16年度の砂糖生産量はかなり減少、輸入量はかなり増加の見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、砂糖の国際価格が低水準にあったこともあり、生産者が他作物への転換を図る動きが見られることや、サトウキビ新植のための十分な投資ができないことなどから、サトウキビの収穫面積は130万ヘクタール(前年度比8.0%減)、生産量は8026万トン(同2.4%減)と、ともに減少が見込まれている(表4)。

 一方、てん菜の収穫面積は14万ヘクタール(同4.5%増)、生産量は699万トン(同8.9%増)と、ともに増加が見込まれているものの、降雨による圧搾の遅れからサトウキビからの産糖量が低下していることが響き、砂糖の生産量は、987万トン(同13.5%減)とかなりの減少が見込まれている。

 中国砂糖協会(CSA)によると、2015年10月〜2016年2月までの砂糖の生産量は、精製糖換算で618万トン(前年同期比15.1%減)とかなりの減少となった。これは、てん菜糖は84万トン(同13.8%増)と増加したものの、甘しゃ糖が534万トン(同18.4%減)と大幅に減少したことによる。

 特に、サトウキビの最大生産地である広西チワン族自治区では、1月に降霜、降雪に見舞われ、サトウキビの収穫、圧搾の遅れにつながり、産糖量が低下していることから、甘しゃ糖生産量は、400万トン(同18.1%減)と大幅に減少した(図5)。

 また、砂糖の輸入量は、国内生産量の減少でタイやブラジルなどを中心に輸入が増加していることから、648万トン(前年度比8.1%増)とかなりの増加が見込まれている。 現地報道によると、中国国家発展改革委員会(NDRC)(注)は、国家備蓄制度に基づき、2015/16年度の備蓄砂糖の総量を150万トンと設定し、3月〜6月の間に備蓄するとしている。備蓄砂糖は、国内のサトウキビおよびてん菜の主要生産地5省から、1トン当たり5200元(9万1780円(2月末日TTS:1元=17.65円))で買い上げられる。

 政府は、国内市場の動向に応じて、備蓄砂糖を国内企業へと売り渡すことで、現在上昇傾向にある国内価格の安定を図るものとみられている。

(注)財政金融政策の策定や公共事業の認可などを行う政府機関。砂糖産業においては、砂糖の国家備蓄計画の総合調整および備蓄放出の提言、輸出入総量計画の作成などを行う。
 
 

 
E U
2015/16年度の砂糖生産量は大幅減、輸入量は大幅増の見込み
 2015/16砂糖年度(10月〜翌9月)は、てん菜播種時の天候に恵まれたものの、在庫の増加による砂糖価格下落への懸念から、てん菜の収穫面積は133万ヘクタール(前年度比14.2%減)とかなりの減少が見込まれている(表5)。また、夏の熱波の影響によるポーランドやドイツなどの減産見通しにより、EU全体では、てん菜の生産量は9254万トン(同23.8%減)、砂糖の生産量は1500万トン(同20.9%減)と、ともに大幅な減少が見込まれている。

 この減産を受け、砂糖の輸入量は、416万トン(同23.1%増)と大幅な増加が予想されている。なお、現地報道によると、2月中に、ブラジルからEU域内に向けて14万トンの粗糖が積み出された。これは、EUの関税割当制度に基づき低関税(注)で輸入される粗糖であり、ブラジルからの輸入は2013年10月以来となる。

 欧州委員会は3月初旬、冬期耕地作物の短期展望として、2015/16年度および2016/17年度の砂糖生産見通しを公表した。これによると、2015/16年度の砂糖生産量は、1500万トン(前年度比23.1%減、以下、精製糖換算)と大幅な減少が見込まれている。これは、2014/15年度の砂糖生産量が、1950万トン(同16.6%増)と生産割当数量を大幅に超える増産となった反動で、てん菜栽培面積が減少したことを主な要因としている。2015/16年度は、工業製品用途への仕向け量は減少するものの、堅調な域内消費により、供給のひっ迫が懸念されている。また、2016/17年度は、生育時期が例年通りの天候条件であれば、てん菜栽培面積は158万ヘクタール(前年度比6.5%増)、単収は1ヘクタール当たり72.77トン(同8.9%増)と、ともにかなり増加するとし、てん菜生産量は、1億1467万トン(同16.0%増)と大幅な増加が予想されている。これにより、砂糖生産量も、1760万トン(同17.3%増)と大幅な増加が予想されている。

(注)EU加盟時に引き継いだフィンランドなどの伝統的な関税割当制度に基づく低関税(1トン当たり98ユーロ(1万2348円(2月末日TTS:1ユーロ=125.61円))、通常関税は同339ユーロ(4万2714円))の粗糖輸入枠。主な輸入先国は、ブラジル、キューバ、インドなど。

 
 
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