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4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年1月時点予測)

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最終更新日:2018年2月9日

4. 日本の主要輸入先国の動向(2018年1月時点予測)

2018年2月

 近年、日本の粗糖(甘しゃ糖・分みつ糖〈HSコード1701.14−110〉および甘しゃ糖・その他〈同1701.14−200〉の合計)の主要輸入先国は、タイ、豪州、南アフリカ、フィリピン、グアテマラであったが、2016年の主要輸入先国ごとの割合は、豪州が52.2%(前年比13.2ポイント増)、タイが47.7%(同8.3ポイント減)と、この2カ国でほぼ全量を占めている(財務省「貿易統計」)。

 豪州およびタイは毎月の報告、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、原則として3カ月に1回の報告とし、今回は南アフリカを報告する。

豪州

2017/18年度の砂糖生産量はわずかに減少、輸出量はやや減少の見込み
 2017/18砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は40万ヘクタール(前年度比1.8%増)とわずかな増加が見込まれているものの、3月に襲来したサイクロンの影響による単収の減少から、生産量は3343万トン(同8.4%減)とかなりの減少が見込まれている(表6)。しかし、製糖歩留まりの向上が見られることから、砂糖生産量は、488万トン(同1.0%減)とわずかな減少に留まると見込まれている。輸出量は、中国向けなどの減少に伴い370万トン(同5.4%減)とやや減少が見込まれている。

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)が2017年12月中旬に公表した2017/18年度の生産予測によると、サトウキビ栽培面積は38万ヘクタール(同2.2%増)とわずかに増加するものの、サイクロンの被害に伴い、1ヘクタール当たり収量が88トン(同10.0%減)とかなりの減少が見込まれていることから、砂糖生産量は、470万トン(同2.2%減)とわずかに減少すると見込まれている。輸出量については、前年度並みの399万トン(同0.6%減)と見込まれている。

 豪州砂糖製造業者協議会(ASMC)は、2017/ 18年度のサトウキビ圧搾量見込みを3336万トンと、12月上旬時点の予測から5万9000トン下方修正している。サトウキビの圧搾作業は、10月のクイーンズランド州での記録的な多雨などにより遅延していたが、次年度のサトウキビ生産が後ろ倒しとなるまでの影響はないとみられている。

表6 豪州の砂糖需給の推移

タイ

2017/18年度の砂糖生産量は大幅増、輸出量はかなり増加の見込み
 2017/18砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、他作物からの転作の進展などにより154万ヘクタール(前年度比9.4%増)、生産量は1億500万トン(同12.9%増)と、ともにかなりの増加が見込まれている(表7)。

 砂糖生産量は、好天により製糖歩留まりが向上し、1200万トン(同16.5%増)と過去最高に達すると見込まれている。このため、輸出量は、788万トン(同11.4%増)とかなりの増加が見込まれている。

 現地情報によると、砂糖産業関連法の改正案は2017年12月上旬、閣議で承認された(注1)。この改正によって、砂糖産業全体の収益をサトウキビ生産者と製糖業者で7:3の割合で分配する現行の収益分配方式は存続するが、砂糖の販売割当(注2)は一部を除いて廃止され、製糖企業は、生産量に応じた在庫量の確保が新たに義務付けられる予定である。政府が設定している国内砂糖価格は廃止されることとなる。改正後の新制度の施行時期については、当初12月1日が予定されていたが、サトウキビ取引価格の算定方法に関する関係者との協議や国内砂糖小売価格の自由化に係る関連規定の改正などに時間を要している。このような中、政府は1月15日、国内砂糖価格については同日から2年間、現行のサトウキビ・砂糖法を適用しないことで、実質的な価格自由化への即時移行を発表した。

 現地情報によると、国内砂糖小売価格については、商務省が法改正後も引き続き監視するとみられる。現在、砂糖小売価格は、1キログラム当たり23.50バーツ(83円〈12月末日TTS:1バーツ=3.53円〉)を上回らないよう管理されており、商務省は毎月、参照価格を公表することで、今後も小売価格が参照価格以下となるよう促すものとみられる。

(注1)タイ政府は2016年4月初旬、国際砂糖価格の低迷時などに製糖企業を通じて生産者に支払われる補てん金や、砂糖の販売割当および国内販売価格の設定は、間接的な輸出補助金に当たりWTO協定に違反しているとして、ブラジル政府からWTOに提訴された。これを受け、タイ政府は同年11月3日、ブラジルとの2国間協議の場に、同年10月中旬に閣議承認された砂糖政策の改革案を提出した。サトウキビ・砂糖委員会事務局(OCSB)によると、改革案は再度閣議レベルで吟味され、公聴会を実施してから再提出するよう、OCSBへ返却された。その後、OCSBは公聴会を実施したが、関連規程の改正案などに時間を要していた。改革案は、その後閣議へ再提出され、2017年12月上旬に承認された。
(注2)タイ産砂糖は、A割当と呼ばれる国内供給向けとB割当およびC割当と呼ばれる輸出向けなどの販売割当に基づき管理されている。

表7 タイの砂糖需給の推移

(参考) タイの砂糖(粗糖・精製糖別)の輸出量および輸出単価の推移

南アフリカ

2017/18年度の砂糖生産量はかなり増加、輸出量は大幅増の見込み
 2017/18砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ収穫面積は、31万ヘクタール(前年度比5.9%増)、生産量は1719万トン(同5.9%増)と、ともにやや増加が見込まれている(表8)。平年並みの降雨が予想されることから、2014/15年度から続く干ばつ被害から回復しサトウキビが順調に生育することで、製糖歩留まりが向上し、砂糖生産量は180万トン(同10.2%増)とかなりの増加が見込まれている。これに伴い、輸出量も30万トン(同37.9%増)と大幅に増加すると見込まれている。

 現地報道によると、業界団体の反対を受けて延期されていた糖類を含む飲料への課税は、2017年12月上旬、大統領が署名し、2018年4月に施行される予定である。課税対象は、100ミリリットル当たり4グラム以上の糖類を含む飲料で、糖類10グラム当たり0.21ランド(2円〈12月末日TTS:1ランド=10.61円〉)が課税される。政府は、同措置により年間10億〜15億ランド(106億1000万〜159億1500万円)の税収が得られると試算しているが、依然として業界団体の反発は強く、南アフリカ飲料協会は、同措置により業界全体の25%の直接雇用が失われるなど、砂糖産業が危機にさらされるとしている。なお、100%濃縮還元の果汁飲料や糖類が添加されていない乳飲料については課税対象外となっている。

表8 南アフリカの砂糖需給の推移

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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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