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日本甘蔗糖技術者会議(JSSCT)第11回講演会の開催について

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最終更新日:2016年12月1日

2016年10月

那覇事務所 岡 久季

 平成28年10月6日(金)に糸満市の沖縄県農業研究センターにおいて、日本甘蔗糖技術者会議(JSSCT)の第11回講演会が開催された。

  同講演会は、沖縄県農業研究センターをはじめ、サトウキビ研究者が日頃の研究成果を発表し、営農活動や病害虫対策などの技術向上を図ることを目的に、毎年開催されている。11回目を迎える今年の講演会には、糖業関係者、学識経験者、行政関係者など約40名が参加し、4組の講演者から研究成果が発表された。

 本講演会の発表内容は下記のとおりである。

1)サトウキビのイオン吸収特性の品種間差とそのデータの利用
   琉球大学 渡邉健太氏 他
糖度低下の原因となるカリウムイオンや塩化物イオンを吸収しにくい品種や、吸収しても糖度低下への影響が小さい品種を特定する研究の経過報告を行った。

2)サトウキビ単収低下要因としての品種形質の変化 −生産力検定試験のデータから−
   琉球大学・鹿児島大学大学院 寳川拓生氏 他
品種のリリース後の経年的な評価に着目し、生産力検定本試験における原料茎重や原料茎数などの項目の分析結果を発表した。

3)サトウキビにおける茎伸長速度と気温・生育ステージの関係
   沖縄県農業研究センター宮古島支所 砂川喜信氏 他
サトウキビの日伸長速度が、どのような気象要因に影響されるかを調査し、土壌水分量が十分な場合では気温との相関が高いことなどを明らかにした。

4)沖縄育成系統の集団的な推移と根本からの改善に向けた取り組み
   沖縄県農業研究センター 伊禮信氏
これまでの育種行程の概略を説明し、今後に向け新技術の開発や海外からの遺伝資源導入などの必要性に触れた後、現在の育種行程を紹介した。
研究発表の様子1
研究発表の様子1
研究発表の様子2
研究発表の様子2
 各発表後の質疑応答においても、参加者側からの質問や意見が活発に出され、2時間という短い間であったが、充実した発表の場となった。多くの研究者が各自の問題意識や関心の下に課題を見つけ、日々の調査や探究活動に取り組んでいる。それらの成果が実際に生産現場で活かされ、研究者達の努力が報われることを願っている。
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