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ポーランドおよびドイツにおける特別酪農基金の配分方法が判明

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 既報(注1)のとおり、2009年11月に政治合意された総額3億ユーロ(約336億円:1ユーロ=112円)の酪農特別基金については、2010年6月30日までに「非差別的な方法で」、「競争をゆがめることなく」酪農家へ配分することが委員会規則1233/2009において規定されているところであるが、このたびポーランドおよびドイツにおける具体的な配分方法が判明したことから以下の通り報告する。

ポーランドでは生乳1キログラム当たり0.015ズロチの水準で配分

 ポーランド農業省の外郭団体で、生産者への補助金の交付、学校給食用牛乳の補助、農産物の介入買い入れによる市場価格の安定業務などを担っているポーランド農業市場局(ARR)の2010年5月31日付の発表によれば、酪農家への交付の期限(2010年6月30日)までに酪農特別基金を各酪農家に迅速に配分する観点から、2008/09クオータ年度(注2)の生乳生産量1キログラム当たり0.015ズロチ(約0.42円:1ズロチ=28円)の水準で配分することとなった。酪農危機が顕在化したのは2009年春以降で2009/10クオータ年度の期間に相当するが、まだ生乳生産量のデータが確定していない段階であることから、2008/09クオータ年度の同データが採用されることになったとみられる。

ドイツでは既存の草地酪農支援制度に上乗せする形で配分

 一方、ドイツ連邦食糧・農業・消費者保護省の発表によれば、ドイツ国内の酪農家に対する緊急支援措置に係る規則が2010年4月17日付で施行され、酪農特別基金の国内酪農家への配分は、既存の草地酪農支援制度の単位面積当たりの単価(注3)に上乗せする形で行われることになった。具体的には、1ヘクタール当たりおよそ20ユーロ(約2,240円)が上乗せされることになるが、ここでも酪農特別基金を各酪農家に迅速に配分する観点から2010年ではなく2009年の同データが採用されることとなっている。

両国とも実績が確定している年度を基本に既存の補助金交付ルートを最大限活用

 両国の事例に共通しているのは、特別酪農基金の迅速な配分のため、実績が確定している年度を基本として既存の補助金交付ルートを最大限活用している点である。このような取り組みは、我が国を含むEU域外の国々にとっても参考になると思われる。
【前間 聡 平成22年6月2日発】
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