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本年最初となる介入買入在庫入札、脱脂粉乳は全量不落に(EU)

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 2010年6月3日に実施されたバターおよび脱脂粉乳の介入買入在庫入札の結果が4日付の官報で公表された。これによれば、バターについては最低落札価格が100キログラム当たり345ユーロ(約38,985円:1ユーロ=113円)とされたものの、脱脂粉乳については最低落札価格が設定されず、全量が不落となった。業界関係者によれば、不落の原因は、欧州委員会側が、応札の価格帯が低すぎるとして脱脂粉乳の放出を見送ったためとみられる。

介入買入在庫放出の発表以来乳製品市場動向が変化

 5月下旬に欧州委員会がバターと脱脂粉乳の介入買入在庫放出の決定を発表したことを受け、乳製品市場動向が変化したと言われており、直近の飼料グレードの脱脂粉乳の卸売価格は5月の値より5〜10%程度低下している。また、バターの卸売価格への影響については脱脂粉乳ほどではないものの、価格の上昇が停止している状況にある。

バターの最低落札価格は介入買入単価の+40%の値に相当

 今回公表されたバターの最低落札価格である345ユーロがどのような判断に基づくものか明らかとなっていないが、これは介入買入単価より40%高い値である。欧州委員会は、介入買入在庫の放出に当たってはかねてより「市場に悪影響を与えないようにする。」と強調しており、今回設定された最低落札価格を下回る水準での放出は市場に悪影響を与えると判断したということであろう。業界関係者によれば、今回の放出量は12,000トン弱とみられており、残りの在庫(13,000トン強)は次回以降の入札に回ることになる。いずれにしても、今回の入札結果が次回以降のバターおよび脱脂粉乳の入札にどのような影響を与えるか注目される。
【前間 聡 平成22年6月4日発】
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