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南米の農畜産業に関する現地情報(2010年6月)

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(アルゼンチン)

○ 2010年1〜4月の牛と畜頭数は、前年同期比24.4%減

 国家農牧取引監督機構(ONCCA)によると、2010年1〜4月の牛と畜頭数は、牛肉価格の上昇により生産者が繁殖雌牛の保留を始めたことから、前年同期比24.4%減の約387万6000頭となった。

○ 2009/10年度のヒルトン枠は約4割が不履行の見込み

 2009/10年度(7月〜翌年6月)のヒルトン枠(EU向けに係る一定基準を満たす骨なし高級生鮮牛肉に対する関税割当)2万8000トンのうち、約4割に当たる1万1000トンが不履行となる見込みとなった。この原因としては、国内における肉牛不足やギリシャに端を発する今年5月のEUの金融危機などが影響しているとみられる。

○ トウモロコシ生産量は過去最大の見込み

 ロサリオ商品市場によると、2009/10年度のトウモロコシ生産量は良好な天候条件などから前年度比73%増の約2270万トンと見込まれる。一部現地報道によると、アルゼンチン政府はこれを受けて、トウモロコシの輸出許可数量を1300万トンから1500万トンへ引き上げることを検討していると伝えられる。

(ブラジル)

○ リオグランデドスル州が口蹄疫ワクチン接種停止の検討を開始

 2001年以降口蹄疫の発生がないリオグランデドスル(RGS)州政府は、毎年5月と11月に行う口蹄疫ワクチン接種の停止を検討し始めた。同州政府は、将来的に同州が生産する食肉を米国や日本などの市場に輸出することを視野に入れ、国際獣医事務局(OIE)から口蹄疫清浄地域のステータスの獲得を希望している。なお、RGS州は、ブラジル全体の牛飼養頭数の約7%に相当する1400万頭の牛を保有している。

○ 南米諸国で飼料規格の統一を検討

 FAO(国際連合食糧農業機関)の支援を受けてブラジルは、南米諸国における家畜飼料について、製造方法、課税率、格付けおよび登録に係る規則など規格の統一を推進している。南米諸国において飼料生産をリードする同国は、南米市場内で製造・流通する飼料のほぼすべてに関与する立場にある。規格統一のため、まずは、飼料メーカーが協議することになるが、今年11月以降、各国の政府も協議に参加することが期待されている。

○ 第2世代の遺伝子組み換えトウモロコシが市場に参入

 米国での発売から4年が経過した第2世代の遺伝子組み換え(GM)トウモロコシがこのほど、ブラジル市場へ参入することになった。種子会社のモンサント社によると、このトウモロコシは2種類の異なるたんぱく質を組み合わせ、3種類の害虫農薬に対する抵抗力を有し、2009年10月にブラジルのバイオ安全技術委員会(CTNBio)から商業化の許可を得ている。モンサント社は、今年の夏季栽培に向けて同種子の販売を開始する予定で、同期間に昨付けられるトウモロコシの10%に使用されると見込んでいる。また、今後第1世代のGMトウモロコシを組み合わせると、ブラジルのトウモロコシ全体の65%がGMトウモロコシとなるとみている。
図
【石井 清栄 平成22年7月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532