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酪農乳業に関するハイレベルグループ報告書勧告の具体化の議論始まる(EU)

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 既報(注1)の通り酪農乳業に関するハイレベル報告書(以下「HLG」という。)が2010年6月15日付で公表されたところであるが、7月12日に開催された農相理事会において、当該報告書で示された7項目の勧告の具体化の議論が始まった。以下、欧州理事会のプレスリリース(注2)で公表された議論の概要を紹介する。

当面7項目の勧告のうち3項目を一体的に議論の方向

 「生産者と乳業の契約関係」の機能強化の必要性については、大半の加盟国から指摘があったが、加盟国間で異なる状況を考慮し極めて柔軟性が高く機動性のある制度を希望するとの見解を示した加盟国もあれば、契約を基準化することが望ましいとの意見を示した加盟国もあった。
 また、加工・小売部門とよりバランスのとれた合意について交渉するため、 「生産者側の交渉力」を高める必要性についても多くの加盟国から指摘があった。生産者団体に関するこのような措置は既に利用可能との発言をした加盟国もあった。
 なお、果樹部門や野菜部門で既に存在している形態を参考とした「業種横断的な団体」の酪農部門における可能性については、協力に係る例外規定を設けることになると危惧する加盟国があったほか、農業部門の特殊性を取り上げた加盟国もあった。
 これら相互に関係の深い3項目は、主要論点として9月27日に開催される農相理事会で一体的に議論することとされた。
 

市場支持施策については見解が分かれる

 上記3項目のほか「技術革新と研究」の必要性や価格・生産に関する情報提供の改善を通じた酪農乳業チェーンの「透明性の確保」についても議論が交わされた。しかしながら、「市場支持施策」については見解が分かれ、介入買い入れなどの既存の措置を継続した上で乳製品市場の不安定性を緩和する新たな措置を開発すべきと主張した加盟国もあった一方で、現行の措置に限るべきと主張する加盟国もあった。
 最後に議論された「生産地の表示」については、大半の加盟国が消費者の関心に応えるものとして歓迎の姿勢を示した。出席した各農相は任意の措置として理解していたが、一部加盟国は義務的表示を想定していた。逆に、EUの単一市場の妨げになるとして生産地の表示を拒否した加盟国もあった。さらに、高い品質基準や生産地域といった牛乳乳製品の特定の側面について任意の表示制度を設けるべきと主張する加盟国もあった。

今後の議論展開

 前述のとおり、「生産者と乳業の契約関係」「生産者側の交渉力」および「品目横断的な団体」の3項目については、9月27日に開催される農相理事会で一体的に議論されることとなり、この議論を踏まえ欧州委員会が2010年末までに提案を取りまとめることとされた。また、「生産地の表示」については、酪農以外の部門も対象としたEUの農産物の品質政策に係るレビュープロセスの中で別途議論されることとされた。いずれにしても、HLG報告書勧告の具体化については、加盟国間で必ずしも議論が収束していないことから、今後とも議論の動向に注目してまいりたい。
注1:酪農乳業に関するハイレベルグループ報告書が公表(EU)
 
注2:3026th Council meeting Agriculture and Fisheries Brussels, 12 July 2010
 
【前間 聡 平成22年7月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤原)
Tel:03-3583-9805