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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年7月上期)

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(アルゼンチン)

○ 鶏肉・豚肉消費が拡大

 アルゼンチン牛肉・牛肉副産物産業および取引会議所(CICCRA)によると、2010年1〜4月の1人当たりの牛肉消費量は、前年同期比20.0%減の56.3キログラムとなった。一方、アルゼンチン養鶏協会(CEPA)およびアルゼンチン養豚協会(AAPP)によると、鶏肉および豚肉の消費量は、それぞれ同7.3%増の38キログラム、15.4%増の7.5キログラムとなった。

○ フィードロットに対する補てん金の未交付額は、11億ペソ超

 アルゼンチンフィードロット協会(CAEHV)によると、政府が2007年2月〜2010年3月までの間、国内の牛肉供給量を増やすため実施したフィードロットに対する補てん金の未交付額は、11億ペソ(約253億円、1ペソ≒23円)を超えることが明らかとなった。CAEHVは、これによりフィードロット収容頭数は減少すると見込みんでいる。なお、2010年6月現在の同国のフィードロット収容率は62%と、前年同月の82%に比べ20ポイント減少している。

(ブラジル)

○ ブラジル フーズの最終承認が難航

 ブラジル財務省経済監視局(SEAE)は、鶏肉パッカー第1位のペルジゴン社と第2位のサジア社の合併による新会社「ブラジル フーズ」(BRF)の国内営業活動について、強度の活動制限を課すべきとする提案を経済擁護管理審議会(CADE、ブラジル国内の市場の独占を規制する機関)に対して行った。
 この中でSEAEは、大手食品会社でもあるBRFが、鶏肉のみならず冷凍ピザ、ハンバーグなど15の食品分野で寡占状態にあるとして、登録商標の不使用や資産の売却などの対応を求めた。しかし、これに対しBRF首脳陣は強く反発しており、CADEによる結論は、2011年上半期にずれ込むとみられている。なお、BRFは、海外営業活動については、CADEから2009年10月に承認を得ている。

○ JBS社、米国のフィードロット買収を示唆

 JBS社は、米国の子会社を通じてアリゾナ州ベルトン市のMcElhaneyフィードロットを2400万ドル(約21億6000万円、1ドル≒90円)で買収する可能性を明らかにした。同社によると、同フィードロットは13万頭の肉牛の肥育能力を持ち、同社の食肉処理場に近いという利点がある。
 しかし、買収取引において米国の監督当局の承認が必要であるため、米国の肉牛生産者団体であるR-CAIF USAは、JBS社による今回の買収は、肉牛部門の競争力に支障が生じるとして、米国司法局に買収中止を要請した。

○ パラナ州のトウモロコシ生産者が農務省と対立

 ブラジル農務省(MAPA)のトウモロコシ流通に係る新たな規則案に対して、国内最大の生産州(シェア23%)であるパラナ州のトウモロコシ生産者が反発している。この規則案では、破損やカビの有無、農薬による異常や過剰な乾燥などの検査を定めている。同州の生産者団体によると、新規則が導入されると、同州のトウモロコシの85%が商業流通を許可されないことになるとし、施行の1年延長や検査基準の引き下げを求めている。
【石井 清栄 平成22年7月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532