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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年9月上期)

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(アルゼンチン)

○ 2010年1〜7月の牛肉生産量は、前年同期比22%減

 アルゼンチン牛肉・牛肉副産物および取引会議所(CICCRA)によると、2010年1〜7月の牛肉生産量は、前年同期比22%減の約152万トンとなった。この原因は、政府の牛肉政策に対する不信および2008〜2009年の深刻な干ばつにより、肉牛農家が繁殖用雌牛などを売却して穀物・油糧種子などの栽培に転向したため、肉牛供給が大幅に減少したこととしている。

○ 2010年1〜7月のトウモロコシ輸出量は、前年同期比105%増

 アルゼンチン国家動植物衛生機構(SENASA)によると、2010年1〜7月のトウモロコシ輸出は、数量べースで前年同期比105%増の約1254万トン、金額べースで同103%増の約20億ドル(約1740億円、1ドル≒87円)となった。最大の輸出相手先はイランで約180万トン、次いでコロンビア、アルジェリア、マレーシアの順となっており、いずれも100万トン以上となっている。

○ インドと農水産の生産に係る協力協定を締結

 アルゼンチン政府は、インド政府と約20億ドル(約1740億円)に及ぶ農水産に係る協力協定を締結した。協定は、穀物、果樹、畜産、水産などの生産に係るインフラ、調査、普及および動植物貿易の推進に関する協力を目的としている。

(ブラジル)

○ ブラジル投資ファンド、バーガーキング社を買収

 ブラジルの投資ファンド「3G Capital Management」は、米国の大手ハンバーガーチェーン、バーガーキング社を約40億ドル(約3480億円)で買収することを発表した。同社は、マクドナルド社に次ぐ米国第2位のハンバーガーチェーンで、世界76カ国に1万2000店を有し、年間売上高は25億ドル(約2175億円)、このうち3分の2は米国とカナダが占めている。
 「3G Capital Management」は、ブラジル人資本家ジョルジ・パウロ・リーマン、カルロス・アルベルト・シクピラおよびマルセル・テレスを大株主とするファンドで、3人はいずれも経済誌「FORBES」が発表する世界の資産家に名を連ねている。
 バーガーキング社の買収は、南米大陸における販売網の拡大が企図されている。同社は有望市場と位置付けるブラジルへ2004年に進出し、現在、15州93店で営業している。

○ ロシア、JBS社などの一部工場からの食肉輸入を停止

 ロシア衛生当局は、JBS社などがマットグロッソ・ド・スル州などに所有する4工場において、食肉から許容量を上回る抗生物質などが検出されたとして、9月8日以降同社などからの食肉の輸入を停止した。また、JBS社については、他州の工場やアルゼンチンの一部工場からの牛肉にもリステリア菌やサルモネラ菌が検出されたとして、14日以降これら工場からの輸入が停止となった。
 これに対して、JBS社は、輸入停止の理由についてロシア当局からいまだ正式な通告を受けていないとしながらも、該当工場からの輸出ができない場合には、同社の国内の他の工場、あるいはロシアへの輸出が認められている国の自社工場から継続するとしている。
【石井 清栄 平成22年9月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532