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第18回世界食肉会議が開催(アルゼンチン)

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「持続可能な世界のための食肉産業発展へ向けて」

 9月27〜29日の3日間にわたり、ブエノスアイレス市内で地球環境やアニマルウェルフェアなどに配慮した「持続可能な世界のための食肉産業発展へ向けて」を主題にした、第18回世界食肉会議が開催された。世界食肉会議は2年に1度、パリに事務局を置く国際食肉事務局(IMS:International Meat Secretariat)が、世界各地域における食肉の需給や貿易動向に関する情報交換などを目的として開催するものである。今回は国際機関、各国政府機関、食肉業界関係者、報道関係者など1100人以上が約40カ国から集まった。今回は、この会議で報告された食肉の世界需給見通しの概要を報告する。
会場入口

2020年の世界の食肉消費量は、2010年比14.1%増

 世界の食肉市場調査などの実績を持つGIRA社のリチャード・ブラウン部長によれば、各国(各地域)の(1)農業政策、(2)通商政策、(3)環境政策、(4)栄養・健康政策−の状況が今後好転するとした上で、2008年9月の国際金融危機の影響により停滞気味であった食肉産業は、今後BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)がけん引力となって2020年まで力強く成長するとしている。特に、輸出国としてブラジル、輸入国として中国の今後の動向を注視する必要があるとされる。なお、ロシアについては、今後鶏肉を中心に国内生産が増加することから、輸入量の減少が見込まれる。
 2020年の世界の食肉消費量(牛肉、豚肉、鶏肉)は、2010年に比べ14.5%増の約3億503万トン、輸出量は同34.0%増の約2832万トンと予測されている。
 各畜種別の需給見込みは、以下の通りである。

1 牛肉(子牛肉を含む)
  2020年の消費量は、2010年に比べ6.1%増の約6450万3千トンと見込まれる。輸出量は、ブラジル、豪州、米国を中心に同14.8%増の約859万7千トンと予測され、ブラジルは200万トン以上、豪州は160万トン以上を輸出するとみられる。輸入量については、米国、EU、ロシアを中心に同16.2%増の約860万トンと予測される。米国およびロシアの減少が見込まれるものの、EU(27カ国)は2010年の2倍以上の約120万トンを輸入するとみられる。

2 豚肉
  2020年の消費量は、2010年に比べ10.3%増の約1億1940万トンと見込まれる。輸出量は、米国、EU、カナダを中心に同34.5%増の709万9千トンと予測され、米国は225万トン近く、EUも約200万トンを輸出するとみられる。輸入量については、日本、米国、ロシアを中心に同10.9%増の約710万トンと予測され、日本は2010年並みの水準、ロシアの減少が見込まれる一方、中国(香港を含む)の輸入量は今後大幅に増加し、2020年は同60.0%増の約480万トンとみられる。

3 鶏肉(鶏肉調製品を含む)
  2020年の消費量は、2010年に比べ24.5%増の約1億2113万トンと見込まれる。輸出量は、ブラジル、米国、タイを中心に同26.0%増の1260万トンと予測され、ブラジルは500万トン以上、米国は約370万トンを輸出するとみられる。また、タイも大幅に輸出を伸ばし約125万トンに達するとみられる。輸入量については、中東諸国、中国、日本を中心に同28.0%増の約1280万トンと予測され、このうち中東諸国は同57.4%増の約425万トンと大幅な増加が見込まれる。また、中国も同様に同70.5%増の150万トン程度に増加するとみられる。
【石井 清栄 平成22年10月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532