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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2010年11月上期)

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(アルゼンチン)

○ 中国との「農業戦略計画」を強化

 アルゼンチン政府は、中国への農畜産物輸出拡大を目的とする「農業戦略計画」を強化することで中国政府と合意した。今後、両国は共同委員会を設置し、牛肉、トウモロコシ、ビール用大麦などの輸出に関する衛生協定など締結に向けた協議を行うことになる。牛肉については、早ければ今月中にも同協定が締結され、その後、レストラン用などの高級牛肉や内臓類が輸出される見込みである。

○ トウモロコシの輸出可能数量は1850万トン

 ドミンゲス農相は、2010/11年度(3月〜翌年2月)におけるトウモロコシの輸出可能数量を、当初見通しを上回る1850万トンであることを明らかにした。この見直しを受け、アルゼンチントウモロコシ協会(MAIZAR)は、輸出許可数量を現在の1400万トンから1500万トンへ引き上げるよう要請している。なお、農相によると、同年度のトウモロコシ生産量は、前年度に比べ15.6%増の約2600万トンになると見込まれている。

(ブラジル)

○ レアル高や国内需要の増加で、2010年10月の鶏肉輸出は減少

 ブラジル養鶏連合(UBABEF)によると、2010年10月の鶏肉輸出は、レアル高や国内需要の増加で、数量ベースで前年同月比0.6%減の約33万5000トンと減少した一方、金額ベースでは、輸出単価の上昇から同7.1%増の約6億500万ドル(約508億2000万円、1ドル≒84円)となった。
 また、2010年1〜10月までの輸出は、数量ベースで前年同期比4.4%減の約318万4000トン、金額ベースで同16.0%増の約55億6800万ドル(約4677億円)となった。

○ 2010年の牛肉輸出額は、過去最高の2008年の水準に達する可能性

 ブラジル牛肉輸出産業協会(ABIPEC)によると、2010年の牛肉輸出額は、肉牛供給ひっ迫傾向で推移したため肥育牛価格が上昇し、輸出単価が上昇したことから、過去最高であった2008年の水準である53億ドル(約4452億円)に達すると見こまれる。一方、数量ベースでは、上記理由と合わせてレアル高から、2008年に比べ16.7%減の約180万トンと見込まれている。
 また、2010年1〜10月までの輸出は、数量ベースで前年同期比2.0%減の約149万4000トン、金額ベースで同22.0%増の約41億ドル(約3403億円)となった。

○ 中国と遺伝子組み換え分野の共同研究および投資に合意

 ブラジル政府と中国政府は11月8日、遺伝子組み換え(GM)分野の共同研究および農畜産物貿易への投資拡大を目的とした協力を行うことで合意した。これにより、今後両国はGM分野のワーキンググループを設置し、毎年情報交換を行うこととなる。また、農畜産物貿易への投資拡大について、両国の農業所管省庁関係者は、農業ビジネスへの投資に関心のある両国の企業家に対アプローチを行っていく。なお、ブラジル農牧研究公社(EMBRAPA)は、ワーキンググループに参加するとともに、バイオテクノロジーに関与する予定である。

(チリ)

○ 中国の衛生当局幹部が豚肉処理工場などを訪問

 チリの豚肉は、中国向け輸出へ向けて中国衛生当局(国家質量監督検験検疫総局、AQSIQ)と最終交渉を行っている。こうした中、AQSIQ幹部は先頃チリを訪問し、政府要人との協議、豚肉処理工場など関係施設の調査を実施した。
【石井 清栄 平成22年11月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:岡)
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