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NZで国際酪農連盟(IDF)世界酪農サミットが開催

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2010年11月、IDF世界酪農サミットがオークランドで開催

 ニュージーランド(NZ)のオークランドで2010年11月8〜11日、国際酪農連盟(IDF)世界酪農サミットが開催された。IDFは1903年に設立された酪農乳業に関する国際機関であり、事務局をベルギーのブリュッセルに置く。同サミットは、IDF業務全体の報告および意見交換を行う「IDFフォーラム」と酪農乳業界にとって関心・興味のあるテーマを取り上げた「特別講演会」の2部構成で毎年開催される。今年は、特別講演会として、「酪農政策および経済」、「酪農」、「チーズ学」、「マーケティング」、「栄養と健康」、「酪農科学とテクノロージー」、「環境」などの分野で、世界各国のスピーカーが報告を行った。この「酪農政策および経済」の中で、世界の酪農状況が発表されたので、その一部について以下の通り紹介する。

世界の酪農概況

(1)生乳生産の動向

 2009年における世界の生乳生産量は、前年を0.6%上回る約5億8千万トンとなる見込みであるが、この増加率は、1997年以降で最低の水準である。国別にみると、EU、米国、ウクライナ、豪州、日本、南アフリカ、中国など多くの生産国で前年を下回った。中国は2000年以降、著しい成長を遂げてきたが、2008年のメラミン混入問題で前年を下回った。一方、NZは前年比8.7%増とかなり増加した。インドも、公式な統計ではないものの、干ばつに見舞われたにもかかわらず、同3.3%増となった。

(2)国際貿易の動向

 2009年における世界の乳製品貿易量は、前年比約7%増の約4980万トン(生乳換算ベース)となった。2008年後半の国際金融危機による世界的な需要低迷は、2009年前半におけるチーズ、脱脂粉乳の貿易量に影響したが、同年後半は大幅に改善した。国別に貿易量の割合をみると、NZが27%と世界最大の輸出国となっている。次いでEU(27カ国)が24%、豪州が9%、米国が8%、べラルーシが5%、アルゼンチンが3%と続いている。また、全脂粉乳の貿易では、中国向けからの需要が著しく増加した。これは同国で発生したメラミン混入問題で、外国産の需要が高まったことにある。

(3)国際乳製品価格の動向

 国際経済危機の影響による乳製品の需要減退を受け、2009年の国際乳製品価格は前半に下落したものの、後半は上昇に転じた。これは、石油産出国や中国の需要が増えた一方、主要生産国において、収益性が2008年以来低迷している上、特に南半球では、気象条件に恵まれなかったこともあり、供給量が減少したことなどが背景にある。国際市況は、2010年に入っても、前半は好調であり、特にオセアニア産乳製品の平均価格(FOBベース)は、バターおよびチーズで4,000米ドル(33万円:1米ドル=82円)、脱脂粉乳で3,000米ドル(25万円)に達している。これは、同地域における生乳生産量が予想以上に少なかったこと、世界経済が緩やかに回復したことなどが影響している。特に、中国における粉乳需要の強さが、世界の乳製品市場をけん引した。

2013年のIDF世界酪農サミットは横浜で開催

 IDFによると、今回開催されたサミットには、66ヶ国より約1600人が参加した。日本からは約80名が参加し、日本開催時以外では、過去最高となった。2013年には横浜で開催されることもあり、日本の関係者の関心の高さが伺えた。なお、2011年、2012年は、イタリアのパルマ、南アフリカのケープタウンでそれぞれ開催される予定である。
【玉井 明雄 平成22年11月19日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:岡田 岬)
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