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2011年におけるEUの豚枝肉卸売価格は前年比0.1%安との予測

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2010年の母豚頭数は1.3%減少したものの、総飼養頭数は0.1%増加

 欧州の調査会社GIRAによると、EUの養豚経営は、経済危機に伴うEU域内外の豚肉需要低迷などの影響により打撃を受け、2010年5・6月時点における主要12加盟国(EU27におけるシェア90%)の母豚頭数は前年比1.3%減の1,204万頭となった。加盟国別では全体的に減少傾向が観察される中、2008年の飼料価格高騰時に生産基盤に大きな打撃を受けたポーランドにおいて母豚頭数が増加していることが注目される。
 一方、総飼養頭数について見ると、1母豚当たりの年間出生頭数の増加など生産性の向上に伴い、全体で前年比0.1%増となる1億3190万頭となっている。主要国別では、デンマーク(同0.7%増)、オランダ(同0.5%増)、ベルギー(同1.2%増)においていずれも増加しているほか、前述のとおり生産基盤が回復傾向にあるポーランドが同4.1%増と大きく増加している。(表1)
 
加盟国別の豚飼養頭数、母豚頭数

2011年におけるEU27のと畜頭数は増加、豚枝肉卸売価格は下落と予測

 これらに伴い、2011年のEU27における豚と畜頭数は、前年比0.1%増と予測されている。主要国別では、2009年のポンド安基調を背景とした輸出増により豚肉産業が好調であった英国が同3.4%増と大きく伸び、デンマークから毎年数百万頭規模の子豚を導入しているドイツが同1.8%増、ドイツから肥育豚のと畜を受け入れているポーランドが同1.0%増となっている一方、ベルギーが同1.6%減、デンマークが同1.4%減、フランスが同1.1%減と主要生産国間で異なる状況が見込まれている。(図1)
主要国のと畜頭数予測
 以上の予測にGIRAは、
・豚肉生産量は、2011年上半期に増加するものの、下半期に減少する。
・豚肉輸出量は、需要の減退に伴い、2011年はわずかに減少傾向で推移する。
・豚肉輸入量は、2011年は前年並みとなる。
・豚肉消費量は、2009年は2%程度減少し、2010年は1%程度増加する。また、食肉消費量は増 加し、豚肉の占める割合は高まる。
という前提条件を加味した上、豚枝肉卸売価格について、2010年は前年比1.6%安の100キログラム当たり136.5ユーロ(約15,288円。1ユーロ≒112円)、2011年は同0.1%安の同136.4ユーロ(約15,277円)と予測している。(図2)
 
豚卸売り価格
 先日関係者と意見交換したところでは、2010年下期から2011年にかけて、目下の飼料原料価格高騰により、域内の養豚経営の収益性が大きく損なわれるとの懸念が示されたところであり、今般のGIRAの予測のとおり2011年の豚肉相場が近年を下回る水準で推移することとなれば、EUの豚肉生産基盤が深刻な打撃を受けるだけに、今後の動向が注目される。
【前間 聡、調査情報部調査課 藤原 琢也 平成22年12月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:岡田 岬)
Tel:03-3583-8693