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独衛生当局、畜産物のダイオキシン問題の現状と対応を発表

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 ドイツにおいてダイオキシン汚染飼料が流通・消費されていた問題は、2010年12月27日にEUの早期通報システム(RASFF)に登録され公となったが、このたび2011年1月11日に開催されたEUの専門家会合において、ドイツ衛生当局よりこの問題の現状と対応について発表がなされたことからこれを紹介する。

 この問題は、2010年12月21日に配合飼料メーカーの自主的なモニタリング検査において基準値を超えるダイオキシンが検出されたことに端を発し、翌22日にドイツ衛生当局への通報、そして前述のRASFFへの登録という流れとなるが、ドイツ衛生当局は、汚染源を次のように特定し、関連農場の封鎖を行った。

・ドイツのバイオガスプラントで2010年11月11日から16日までに発生した脂肪酸179.2トンをオランダの業者に出荷
・オランダの業者はこれをさらにドイツの飼料原料取扱業者に出荷
・ドイツの飼料原料取扱業者は上記の脂肪酸を含む2,256トンの製品を飼料原料としてドイツの配合飼料メーカー(25社)に出荷(なお、汚染された飼料原料はドイツ以外の加盟国または第三国には一切出荷されていない。)
・汚染されたおそれのある飼料を使用したドイツの畜産経営(合計4,760農場)を封鎖
図1:バイオガスプラントから飼料製造業者までの汚染物質の流れ図
図1:バイオガスプラントから飼料製造業者までの汚染物質の流れ図
 その後実施された飼料・畜産物を対象とする検査により、2011年1月10日現在の封鎖対象農場は9州の558農場(うち、養豚経営の封鎖農場は6州、346農場)まで縮小されている(図2、3)。


図2:封鎖対象農場の地理的分布(1月10日現在)
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図3:封鎖対象農場の畜種別、州別一覧(1月10日現在)
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 上記のように汚染源が特定され、汚染されたおそれのある飼料・畜産物の廃棄、関連農場の封鎖が実施されていることから、事態は沈静化に向かうとみられる。

 なお、当地ベルギーではドイツの国内問題との認識のためか関連報道も少なく、小売店の店頭でも製品の撤去や張り紙などの動きは観察できなかった。

参考:ドイツ連邦食料・農業・消費者保護省発表資料(英語)
【前間 聡 平成23年1月13日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
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