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大型サイクロンの上陸で農畜産物に影響(豪州)

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豪州北東部にカテゴリー5のサイクロンが上陸

 豪州北東部クイーンズランド(QLD)州に2月3日未明、大型サイクロン「ヤシ」が上陸した。「ヤシ」は、サイクロンの強さでは最大の「カテゴリー5」の勢力をもち、同州では襲来前に、1万人以上が避難した。ブライQLD州首相は3日午前の記者会見で、現時点では死者や重傷者は報告されていないと述べている。なお、上陸後「ヤシ」は次第に勢力を弱めているものの、暴風雨や大雨による洪水などへの警戒が必要となっている。

サトウキビ産業では5億豪ドル相当の被害が生じる可能性

 「ヤシ」の襲来による農畜産物への影響については、上陸直後であり、被害を把握するには時期尚早であるものの、バナナやサトウキビ被害への懸念が大きく報じられている。サトウキビへの影響について、生産者団体ケーングロワーズは2月3日付けプレスリリースにおいて、サトウキビ産業は5億豪ドル(415億円:1豪ドル=83円)相当の被害が生じる可能性があると初期的な見解を示した。今回、サイクロンが上陸したQLD州ケアンズとタウンズビルの間にまたがる一帯は、全豪サトウキビ生産量の約3割を占める主要生産地域である。同団体では、被害の全容を把握するにはまだ早すぎるとしながらも、作付けされたサトウキビ生産の約半分に影響が出る可能性があり、また、サトウキビ栽培の特徴から、その影響は数年間に渡り続くとしている。

生体牛輸出に遅延

 QLD州は豪州の主要な生体牛輸出地帯である。「ヤシ」を警戒し、主要輸出港の一つであるタウンズビル港からインドネシア向けの牛約3000頭の出荷を見合わせるなどの影響が出ていると報じられている。
【玉井 明雄 平成23年2月3日発】
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