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南米の農畜産業をめぐる現地情報(2011年2月上期)

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(アルゼンチン)

○ 北部国境の重点監視地帯が口蹄疫ワクチン接種清浄地域に復帰

 国家動植物衛生機構(SENASA)は、パラグアイ、ボリビアの国境から15キロ以内の口蹄疫重点監視地帯が2月4日、国際獣疫事務局(OIE)からワクチン接種清浄地域に認定されたと発表した。OIEの今回の認定により、アルゼンチンは、ワクチン非接種清浄地域となっているパタゴニア地域の一部を除き全てワクチン接種清浄地域のステータスを保有することになった。

○ 現在の牛肉高で輸出競争力は低下

 主要牛肉パッカーの1つであるクイックフーズ社の幹部は、現在の国内枝肉価格が、政府の牛肉輸出政策の誤りなどによる飼養頭数の減少から、1キログラム当たり3.7〜4ドル(約315〜340円、1ドル≒85円)と、国際市場と比べて2割以上高いとし、こうした状況下では、輸出競争力は低いと述べた。

○ 中国が今月中にもアルゼンチン産トウモロコシの輸入を許可の可能性

 現地報道によると、今月中にも中国の国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)の担当チームがアルゼンチンを訪れ、同国産トウモロコシの輸入を許可する可能性がある。なお、既に昨年12月に牛肉や大麦などの輸入は許可されている。

(ブラジル)

○ マット・グロッソ・ド・スル州の重点監視地帯も口蹄疫ワクチン接種清浄地域に復帰

 OIEは2月7日、マット・グロッソ・ド・スル(MS)州の口蹄疫重点監視地帯(アルゼンチンと同様にパラグアイ、ボリビアの国境から15キロ以内の地帯)をワクチン接種清浄地域に認定した。これにより、MS州全域が同一のステータスを保有することになった。なお、同地帯には、牛や水牛が約80万頭飼養されている。

○ 2011年のマット・グロッソ州の牛と畜頭数は過去最低の見込み

 マット・グロッソ(MT)州農牧経済院(IMEA)によると、国内最大の牛飼養州である同州における2010年の牛飼養頭数は、前年比5%増の約2870万頭となった。また、2011年の牛と畜頭数は、前年比5%減の約418万頭と過去最低になると予測されている。この予測について、MT州牛生産者協会(ACRIMAT)関係者は、2006〜2008年に繁殖用雌牛のと畜が増加したことが影響しているとしている。

○ 中国の企業グループがゴイアス州の大豆部門に投資を計画

 中国のHOPFULLグループのミッションは、ゴイアス州農牧連合(FAEG)と2回の会合を行い、同州北部および北東部における大豆部門への投資の可能性を協議した。同グループは、中国の大手500企業の1つで、大豆の搾油と副産物の生産を事業の主体としている。同グループの1日当たりの大豆油生産量は130万トンであり、年間300万トンの大豆を処理している。原料大豆の大半は輸入に依存しているが、原料の調達について最近、生産地での直接購入に切り替える戦略をとっている。今回のゴイアス州訪問はこうした戦略の一環をなすものとみられる。
【石井 清栄 平成23年2月16日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:岡田 岬)
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