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EU、7年ぶりに牛肉純輸出地域へ

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 欧州委員会によると、2010年の牛肉輸出量は、前年比94.5%増の48万5千トンと大幅に増加した一方、輸入量は同12.1%減の43万1千トンとなったことから輸出量が輸入量を上回り、2002年以来7年ぶりに純輸出地域となった。
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国際相場の高騰と為替が輸出に追い風

 輸出量の大幅な増加は、国際市場の高騰や為替の影響による。国別では、主要輸出国であるロシア向けが、前年比166.8%増の13万6千トンと、価格の高騰した南米産の代替需要として冷凍品を中心に増加した。また、前年までほとんど実績のなかったトルコ向けは、旺盛な需要を受けて、第4四半期に冷蔵品が伸び、通年では輸出量全体の14.5%を占める7万トンとなった。
 一方、輸入量は、主要輸入国のうち南米からの輸入が減少、特にアルゼンチン、ウルグアイではそれぞれ同35.3%減、16.9%減と前年を大幅に下回り、その結果、37万9千トンと前年を12.5%下回った。この主な要因として、域内生産が増加したことと併せて、アルゼンチンが、牛肉生産量の減少に対応するため、輸出制限を実施するなど国内供給を優先させたことなどにより、南米の牛肉価格が高騰し、EU域内のそれとほぼ同程度となったことが挙げられる。
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2011年の輸出量は減少の見込み

 好調な輸出は2011年第1四半期も続いているが、英国の農業・園芸開発委員会(AHDB)によると、輸出量は通年では減少するとしている。その理由として、AHDBは、2011年は、飼料費の高騰で枝肉重量の減少が見込まれる上、酪農の副産物である乳用種の飼養頭数も減少傾向で推移していることから、生産量が微減し、輸出余力の低下が予測されることを挙げている。
【小林 奈穂美 平成23年7月29日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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