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韓国豚肉需給の現状と今後の見通し(2011年8月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが8月25日に公表した2011年9月号の畜産観測(豚編)に基づき、韓国の豚肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

飼養頭数は母豚頭数の回復により増加基調

 豚飼養頭数は、2010年の口蹄疫(FMD)発生により、2011年3月には703万6千頭(前年同月比72%)にまで減少したが、6月は3月比4.2%増の733万頭と増加に転じた。
 9月の飼養頭数は、繁殖用母豚の無税枠導入による母豚頭数の回復により、6月比2.3〜3.7%増の750〜760万頭と見込まれ、前月の予測から5万頭上方修正された。
 12月については、FMDにより殺処分を行った農家に対する補償金支給の遅れから母豚の導入の遅れがあるものの、堅調な生体価格を反映して農家の生産意欲が高まり、3月と比べ10%増の770〜780万頭と、増加傾向が続くと見込まれる。
表1 豚飼養頭数の推移(単位:千頭)

 年/月

3

6

9

12

2011年(A)

7,036

7,330

7,500-7,600

7,700-7,800

2010年(B)

9,768

9,728

9,901

9,881

A/B (%)

72%

75%

76%-77%

78%-79%

資料:韓国農村経済研究所(KREI)、農業観測センター
 注:2011年9月以降は農業観測センター予測値

と畜頭数は8カ月連続で前年を下回る 

 2011年7月のと畜頭数は、前年同月比37%減の73万頭と8カ月連続で前年を下回った。また、9月〜来年2月のと畜頭数は前年同期比20.4%減の544万頭と見込まれ、飼養頭数の増加に伴い、9月以降はおおむね前月より増加傾向で推移するものとみられる。
 なお、9月〜2月の豚肉生産量は、と畜頭数の大幅な減少に伴い、前年同期比19.5%減と見込まれており、国内の豚肉価格が高値で推移する中、今後の生産量の動向が注目される。
表2 豚と畜頭数(単位:万頭)

年\月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2009

113

112

119

115

103

113

114

111

125

115

124

129

2010

120

114

133

123

117

117

115

118

113

129

137

127

2011

98

79

95

91

87

78

73

85

84

93

95

95

平年

117

108

117

116

111

108

109

112

114

124

128

124

2011/10(%)

82

69

71

74

74

67

63

72

74

72

69

75

資料:国立獣医科学検疫院、農業観測センター
 注1:2011年8月以降(斜体)は農業観測センターによる予測値
  2:平年値は2006〜2010年の5年間の最低、最高値を除いた平均値
表3 月別豚肉供給量(単位:千トン)

年\月

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

2009

75

76

87

78

79

77

66

72

80

74

76

85

2010

79

74

87

82

81

78

73

78

73

79

81

83

2011

80

53

88

100

94

78

64

63

63

67

70

68

2012

70

66

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平年

81

73

87

80

80

77

71

75

73

77

80

82

2011/10(%)

101

72

101

123

116

100

88

81

86

85

86

82

資料:農業観測センター 
 注1:2011年8月以降(斜体)は農業観測センターによる予測値
  2:平年値は2006〜2010年の5年間の最低、最高値を除いた平均値

枝肉価格は代替食肉需要の増加などにより下落傾向

 8月(24日まで)の枝肉価格は、代替食肉需要が高まったことなどから、前月比4.8%安の1キログラム当たり6,256ウォン(456円:100ウォン=7.3円(8月末TTSレート))となった。
 9月の価格については、豚肉需要が減少するものの、安定供給を目的とした農林水産食品部による農家への出荷要請のため出荷頭数が増加するとともに輸入豚肉の販売拡大から、前月比7.3〜12.1%安の5,500〜5,800ウォン(401〜423円)、前年同月比では21.3〜27.9%高と高い水準となるとみられる。しかし、韓国のお盆にあたる中秋を過ぎた後の需要減少や輸入豚肉在庫の積み増しにより、今後は弱含みで推移すると見込まれる。
1

7月の豚肉輸入量は前年同月比244%増

 国内供給がひっ迫し、豚肉価格が高騰する中、輸入量は今年に入り3万トン台で推移してきた。2011年7月の豚肉全体(HSコード:0203)の輸入量は、国内生産量の減少や無税輸入枠の拡大(6月措置)により、前月比で54.3%増、前年同月比で244.0%増の7万3,451トンと、7カ月連続で前年を大幅に上回った。
 このうち、冷蔵豚肉(同:020319)は前年同月比184.0%増の2,775トンとなった。冷凍豚バラ肉(同:0203291000)の主な輸入先は、チリが同7.7%増の1,364トン、フランスが291.0%増の1,339トンと、合計で同4.8%増の7,222トンとなった。これは、政府が航空輸送費を補助するなど豚肉の輸入促進策を講じたため、EU産の輸入が増加したものと考えられる。加工原料用冷凍豚肉(同: 0203299000)も同370.4%増の6万3千トンと、前年を大幅に上回った。
 なお、9〜来年2月の輸入量は、輸入冷凍肉の在庫増により輸入が一服し、前年同期比27.0%増の11万5千トンと増加幅の鈍化が見込まれる。
2
【藤井 麻衣子 平成23年9月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532