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8月の対日鶏肉輸出量は前年比50%超の大幅減(ブラジル)

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日本向けは2年ぶりに2万トンを下回る

 日本の鶏肉輸入量のうち約90%はブラジル産が占めており、ブラジルの生産・輸出動向は、日本国内の市場に与える影響は大きい。
  ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、ブラジル産鶏肉の輸出量は、約2年間3万トン前後で推移し、2011年8月は前年同月比1.0%増の31万8218トンであった。日本向け輸出量は同51.6%減の1万6988トンと大幅に減少した。
図1
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対日輸出価格はピークを過ぎる

 対日輸出量が急激に減少した要因は、主に2つの理由が考えられる。
 第1は在庫過剰である。日本国内の鶏肉の推定期末在庫(7月時点)は前年同月比約15%増、輸入品だけ見ると同約23%増となり、供給が過剰になったことだ。これは、東日本大震災により東北地方の鶏肉生産地が大きな被害を受け、当面の鶏肉供給に不安があったことから4〜6月はブラジル産鶏肉の買いが進んだものの、日本国内での供給能力が予想を上回って回復したことにより、在庫量が増加したものと考えられる。
 第2は対日輸出の価格上昇である。ブラジルでは2011年上期に、国内価格および輸出価格の上げ止まりがみられるものの、対日輸出価格に限っては、2010年8、9月に一時的に足踏みしたものの、すでに2年以上も上昇基調で推移している。2011年7月は、前年同月比32.9%高の1キログラム当たり3.16レアルとなった。このように対日輸出価格の高騰が続いたため、価格の折り合いがつかず、輸入量が減少したものと考えられる。8月に入り同2.73レアルと久しぶりに下落に転じたことから今後、価格の折り合いがつけば、年末に向けて需要が伸びる時期だけに、主要輸入国であるブラジル産の鶏肉への需要も回復するものと考えられる。
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【岡 千晴 平成23年9月27日発】
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