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酪農産業再編規則改正をめぐる議論について(NZ)

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「Regulated Milk」改正案の内容と業界の反応

 NZでは、2001年9月に成立した2001年酪農産業再編法(Dairy Industry Restructuring Act 2001、以下「DIRA」という。)により、生乳および乳製品市場での競争を促進するための措置が導入されている。これは、同年に誕生したフォンテラによる市場の独占状態を回避し、酪農家および消費者などの保護や、乳業メーカーへ新規参入の機会を付与することを目的としている。
 この具体策の一つとして現在、フォンテラに対して年間60万キロリットルを上限に、酪農家に対する支払乳価に準じた価格で独立系の乳業メーカーに生乳を供給することを義務付けている。この生乳は「Regulated Milk」と呼ばれ、供給先は、グッドマンフィールダー(上限:25万キロリットル)、独立系の乳業メーカーなど(同:1社当たり5万キロリットル)となっている。2010/11年度(7〜6月)では、「Regulated Milk」はフォンテラを除く乳業メーカーが加工する生乳の約1/4を占めた。
 この「Regulated Milk」について、NZ農林省(MAF)は、独立系乳業メーカーの発展および新規参入がより図られるよう、運用について改正案を提示している。現在の運用とその改正案の内容は下表のとおりである。
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 この改正案について、MAFは9月までパブリックコメントの受付を行った。現在、これら提出された意見が公表されている。フォンテラはこの改正案について、「酪農家から直接生乳を得る術を持たない乳業メーカーや国内市場へ製品を供給している乳業メーカーへ生乳を供給することについては責任があると感じている。一方で、Regulated Milkを利用しながら、製品の多くを輸出している乳業メーカーにまで生乳を供給する必要性はないのではないか」と述べている。しかしながら、Regulated Milkを利用した乳製品の仕向け先については現時点で論点となっていない。また、現在Regulated Milkの供給を受けている多くの独立系乳業メーカーは、「改正は必要なく、現行のままが好ましい」とする意見となっている。
 このRegulated Milkの改正はNZにおける各乳業メーカーの生乳の調達動向、ひいては生乳価格に大きく影響すると考えられることから、今後も動向を注視する必要がある。

2011/12年度(6〜9月)の生乳生産量は前年を1割以上上回る

 NZにおける9月の生乳生産量は、前年同月を12.8%とかなり上回る201万キロリットルとなった。この増加の要因は、昨年の乳価が高水準であったために酪農家が増産していることに加え、気象条件など飼養環境が良好となっていることが挙げられる。
 また、2011/12年度(6〜5月)はじめの4カ月間(6〜9月)の累計では、前年同期比11.5%増の326万キロリットルとなっている。
 このように生乳生産が好調なことから、USDA(米国農務省)も10月中旬に公表した見通しにおいて、2011年(1〜12月)の生乳生産量を5月予測時の1804万9000トンから1868万1000トンに3.5%上方修正した。また、2012年についても過去最高となる1902万3000トンになると予測している。
【前田 昌宏 平成23年10月28日発】
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