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WA州の2011/12年度の小麦生産は飼料用が増加の見込み(豪州)

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 日本における平成23年度上半期の飼料用小麦の輸入は、トウモロコシの国際価格高から、前年同期比128.9%増の13万9000トンと大幅に増加し、そのうち豪州は7万トンと約半分を占めた。
 一方、西オーストラリア(WA)州の小麦生産量は豪州全体の約1/3を占め、また、国内市場が小さいことから生産量の約9割が輸出に仕向けられ、同州からの小麦の輸出量は豪州全体の約半分を占めている。日本にとっても、食用小麦および飼料用小麦の重要な輸入地域となっている。
 このような中、豪州の主要輸出地域であるWA州の2011/12年度(7月〜翌6月)の小麦の生産見通しについて報告する。

8〜9月の降雨により、収穫量はABARES予測の900万トンから増加の見込み

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)によると、WA州の2011/12年度の小麦生産量は6月時点で874万トンと予測されていた。6月以降、WA州の大半の地域で6〜8月の降雨量が平均雨量に達したことから、ABARESの9月時点での予測は900万トンに上方修正された。これは、干ばつとなった前年度から91.5%増であり、過去10年間の平均と比較しても23.9%増の高水準である。
 豪州気象庁(BOM)によると、WA州の9月の降雨量は小麦の生産地域において、平均あるいは平均を上回っており、さらに10月は、WA州全体では1900年以来3番目に降雨量の多い月となり、南部沿岸部(下「参考1」中の9A)の西部にあるアルバニーなど一部の地域を除いて、小麦生産地域のほぼ全域で「平均雨量」から「平均雨量を大きく上回る降雨」が得られた。
 関係者によると、小麦の単収は開花期前後である8〜9月の降雨量によって増減が決まる。この時期に十分な降雨に恵まれたことにより、単収増が見込まれることから、WA州の小麦生産量は9月時点の予測である900万トンからさらに上積みが見込める。なお、高単収が期待されているのは、小麦生産地のうち北部沿岸部(同8)や中央北部(同10)、中央南部(同10A)の北部地域にかけての一帯である。
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収穫期に予想される降雨によって、飼料用小麦増加の可能性

 一方、2011/12年度は降雨量の多さから、小麦のたん白質含有量の低下が懸念されている。小麦のたん白質含有量は、収穫期の気温上昇と乾燥によって増加する。同州の収穫は11月から12月にかけて本格的に行われるが、BOMの11月〜1月における気象予測によると、小麦生産地域一帯にかけて平均雨量を上回る可能性が高いとみられ、乾燥することが見込めないことからたん白質含有量は低下する可能性が高い。
 豪州ではたん白質含有量の低いものが飼料用に仕向けられる。関係者によると、今年度はWA州の小麦生産量の増加とともに飼料仕向けの割合が増加することから、同州の飼料用小麦の輸出余力は例年を超える水準になるとみられる。
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【伊藤 久美 平成23年11月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391