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韓国の牛肉需給の現状と今後の見通し(2011年11月現在)

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 韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センターが11月25日に公表した2011年12月号の畜産観測(肉用牛編)および韓国貿易統計に基づき、韓国の牛肉需給の現状と今後の見通しを報告する。

総飼養頭数は12月以降減少の見込み

 牛の総飼養頭数は、2011年6月が305万頭(前年比5.7%増)、9月が304万頭(同3.2%増)と、前年を上回った。12月は、9〜11月の子牛生産頭数(出生頭数)が減少したことから、前年は上回ったものの、前月比では2.2%減の298万頭となった。
 2012年3月は、子牛生産頭数が例年より減少することなどから、総飼養頭数の増加は鈍化するとみられ、前年をわずかに上回る291万頭(同0.9%増)と見込まれる。
 韓国の飼養頭数は、牛肉市場規模に照らして、250万頭が適性水準との見方が多く、現在の飼養頭数は既に過剰なものとなっている。現在、牛肉価格が下落しており、生産者は子牛の導入を控えていることから、今後飼養頭数は減少傾向で推移するものと考えられる。

表1 肉用飼養頭数および韓牛飼養頭数の推移 (単位:千頭)

 

2010年 

2011年 

2012年 

 9月

12月 

3月 

6月 

9月 

12月 

 3月

総飼養頭数

2,949

2,915

2,881

3,053

3,044

2,978

2,908

韓牛

2,788

2,762

2,734

2,905

2,901

-

-

資料:韓国農村経済研究院(KREI)農業観測センター、統計庁
 注:2011年12月、2012年3月の頭数は推計値

 子牛生産頭数およびと畜頭数の推移 (単位:千頭)

 

2010〜11年 

2011年 

2011〜12年 

 12〜2月

3〜5月 

6〜8月 

9〜11月 

12〜2月 

子牛生産頭数

194

329

209

159

183

と畜頭数

178

171

224

209

197

資料:韓国農村経済研究院( KREI)農業観測センター、統計庁
  注:2011年12月、2012年2月の数字は推計値


1

卸売価格は旧正月以降も軟調

 牛肉卸売価格は、飼養頭数増加に伴い今年初めから、前年を下回る水準で推移している。このため、農協および全国韓牛協会は、テレビ・公告媒体を通じ、牛肉消費拡大などに取り組んでいる。
 2011年1〜10月の牛肉購入量は、国産牛肉の値引き販売などが功を奏し、前年を6.6%上回る1.49キログラムとなった。
 
 しかし、供給過多の状況が続いており、11月の牛肉卸売価格(枝肉ベース)は、1++等級はキログラム当たり16,682ウォン(前年同月比16.3%安; 1,117円:100ウォン=7.06円(11月末TTSレート))、1+等級は同14,672ウォン(同13.9%安;1,035円)、1等級は13,451ウォン(9.3%安;949 円)と、前年をかなり下回った。下等級についても10〜16%下落するなど値を崩している。
 12月〜来年1月の牛肉価格の見通しは、1等級の牛肉1kg当たりの卸売価格は、13,500〜14,500ウォン(953〜1,023円)と、前年同期より1.3〜8.1%下落するとみられる。旧正月以降の2月は、需要が落ち込むことから、さらに下落し、13,000ウォン(917円)程度で推移すると見込まれる。
 
 韓牛自助金管理委員会 は12月2日、2012年度の韓牛事業の予算案を公表した。予算案では、全体の予算額は247億ウォン(17億円)を超える規模となる。内訳は、消費拡大に69億2千万ウォン(5億円)、需給安定対策に102億9千万ウォン(7億円)、価格安定対策に100億ウォン(7億円)である。


 補足)韓国では歩留等級と肉質等級による格付が行われており、等級は良い順に1++等級、1+等級、1等級、2等級、3等級の5段階で表示される。
1

2011年1〜10月の輸入量は前年同期比22.1%増

 輸入量は、口蹄疫発生の影響により2011年に入り前年を上回る水準で推移している。牛肉国内価格や豚肉価格の下落により、8月をピークに減少傾向にあるものの、10月は前年同月比12.9%増と、依然として前年を上回る水準で推移している。
 2011年1〜10月の牛肉全体(HSコード0201および0202)の輸入量は、前年同期比22.1%増の259,558トンとなった。輸入の国別シェアは、豪州(123,691トン)と米国(101,147トン)で全体の約9割を占めている。

 冷凍牛肉の各部位(骨付きショートリブ、骨付きその他、骨なし)の2011年1〜10月の輸入量は、前年同期と比べ、骨付きその他部位(前年同期比3.1%減)は減少し、骨付きショートリブ(同34.4%増)と骨なし(同23.7%増)の部位は、大幅に増加している。
 なお、12月〜来年2月の牛肉全体の輸入量は、在庫の積み増しなどにより6万トンと、前年同期を下回ると予測される。
1

表3 冷凍牛肉各部位の2011年1〜10月主な輸入国と輸入量

 

骨なし
(同:020230

骨付きショートリブ
( HS:0202201000

骨付きその他
(同:0202209000

10

1〜10月

10

1〜10月

10

1〜10月

全体

輸入量

12,909

128,269

7,606

71,692

2,465

20,299

前年同期比

22.1

23.7

19.6

34.4

▲ 13.6

▲ 3.1

1

国名

豪州

豪州

米国

米国

豪州

豪州

輸入量

6,379

66,854

4,551

42,826

1,835

13,233

前年同期比

4.1

19.0

25.6

64.9

▲ 0.6

▲ 4.2

2

国名

米国

米国

豪州

豪州

米国

米国

輸入量

4,867

43,945

1,776

15,885

299

3,078

前年同期比

46.0

40.3

▲ 4.2

5.5

▲ 30.6

▲ 2.7

3

国名

NZ

NZ

NZ

NZ

NZ

NZ

輸入量

1,243

15,712

1,110

11,994

184

2,320

前年同期比

33.2

1.0

35.4

1.5

▲ 35.9

1.9

資料:Global Trade Atlas
【藤井 麻衣子 平成23年12月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532