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米国のバイオ燃料を巡る最新の情勢:2012年の使用義務量およびエタノール税制優遇措置の状況

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 米国環境保護庁(EPA)は12月27日、2012年におけるバイオ燃料の使用義務量を定めた再生可能燃料基準を公表した。環境保護庁は2022年までの各年の使用義務量を定めているが、年間使用義務量はその時々の情勢等を考慮して、前年の11月30日までに決定されることとなっている。
 また、バイオ・エタノールの利用促進を図るための税制優遇措置については、議会が延長措置を取ることなく閉会したため、予定通り2011年末に期限を迎える見込みである。

2012年の再生可能燃料の使用義務量は152億ガロン

 2012年の再生可能燃料基準は本年6月に規則案として提案されたところであるが、最終的に決定された規則は当初案とほぼ同じ内容となっており、2012年使用義務量は前年と比べ12億5千万ガロン増の152億ガロンとされた。
 再生可能燃料の分類別使用義務量については、セルロース由来のバイオ燃料が865万ガロン(エタノール換算1045万ガロン)、バイオディーゼルが10億ガロン(同15億ガロン)、先進的バイオ燃料の合計が20億ガロンとなった。また、2010年2月に公表された使用義務量との比較においては、セルロース由来のバイオ燃料の乖離が最も大きく、同バイオ燃料の生産拡大は難航しているものとみられる。
 なお、先進的バイオ燃料の使用義務量は20億ガロンと設定されているが、バイオディーゼルの設定数値は15億ガロン(エタノール換算)となっており、約5億ガロンのすき間がある。これについてEPAは、「サトウキビ由来エタノールの輸入などで先進的バイオ燃料の20億ガロンは達成可能」とコメントしている。
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エタノール税制優遇措置は年末に失効する見込み

 米国政府は、バイオ・エタノールの利用促進を図るため、(1)エタノール混合業者に対する税制優遇措置(ガソリン税を1ガロン当たり45セント控除)、(2)輸入エタノールに対する追加関税措置(輸入エタノールに対して同54セントの追加関税)をとってきた。これら税制措置は2011年末に期限を迎える予定となっており、今般、米国議会が延長措置を取ることなく閉会したため、予定通り年末に失効する見込みである。
 税制措置の年末の失効をにらんで、最近のトウモロコシ由来のエタノール生産は増加傾向にあった。現在のトウモロコシのシカゴ相場は南米の天候不安などを理由に強含みで推移しているが、エタノール税制優遇措置の失効が今後の相場にどのような影響を与えるか、注目されるところである。
【上田 泰史 平成23年12月28日発】
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