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2011年の農業生産額は、気象条件に恵まれ前年から軒並み増加(フィリピン)

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 フィリピン農務省農業統計局(BAS)は、2011年の農業生産概況を公表した。これによると、農業部門全体における生産額(現行価格)は、前年比11.5%増の1兆4千億ペソ(約2兆8千億円:1ペソ=2.0円)となった。

耕種部門の生産額は前年比19.5%増

 農業生産額の約5割を占める耕種部門は、同19.5%増の8040億ペソ(約1兆6080億円)と大幅に増加した。
 コメ、トウモロコシ、サトウキビなどの主要作物は、前年のエルニーニョ現象に伴う干ばつおよび高温による減産から回復し、大幅な増産となった。特にサトウキビは、気象条件に恵まれたことや一部地域で施肥量を増加させたことで、単収が向上した。このため、生産量は同58.3%増の2838万トンと大幅に増加し、製糖工場はフル稼働している。
 農家販売価格について、トウモロコシは白色種が食用および加工用に、黄色種が飼料用にと、それぞれ旺盛な需要にけん引され上昇した。また、サトウキビも堅調な砂糖価格を反映し上昇しており、エタノール向けに生産されたサトウキビも製糖向けに転用された模様である。

家畜部門と家禽部門の生産額はともに増加

 家畜部門(牛肉、水牛肉、豚肉、ヤギ肉、生乳)は同1.1%増の2129億ペソ(約4258億円)と微増し、家禽部門(鶏肉、アヒル肉、鶏卵、アヒル卵)は同4.8%増の1588億ペソ(約3176億円)となった。
 2011年は気象条件に恵まれたため、牧草の生育が肉牛の増体や乳牛の乳量増加に寄与し、牛肉、生乳の生産量はともに増加した。牛肉については地方市場における需要も強く、と畜頭数が増加したにも関わらず、生産者販売価格も上昇している。豚肉については、飼養頭数やと畜頭数が増加したことで、価格が伸び悩み生産額は微増にとどまっている。
 家禽部門の生産額の増加は、鶏肉と鶏卵の生産額が前年を上回ったことが主因である。鶏肉について、家計消費量の増加やファストフード店の出店増により需要は上昇基調にある。生産量も、換気システムを備えた鶏舎が増加したことで、増羽が可能となり増加につながっている。特に大型連休と重なり需要の高まる第4四半期(10〜12月)には、フィリピン全土で生産量が増加した。鶏卵も採卵効率の上昇や新規農場の建設によって生産量が増加したことにより、生産額の伸びにつながった。
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【木下 瞬 平成24年3月13日発】
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