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欧州議会、と畜場までの移送時間の制限に関する宣言書を発行

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 欧州議会は3月15日に、アニマルウェルフェア一環として、と畜場までの家畜の移送時間を最大8時間までとする規程を設定すべきとした宣言書を採択し、同議会議員の過半数以上の378人がこの宣言書に署名した。

と畜用動物の移送時間は最大8時間とする規程の要求

 今回採択された宣言書は、リスボン条約第13条(アニマルウェルフェアの関する条文)の決議や、2010年5月5日に欧州議会で決議された「2006〜2010年のアニマルウェルフェアの行動計画」の評価を考慮しつつ、同議会の手続きに関する規則第123条(議会における宣言書の発出にかかる条文)に基づき宣言している。
 宣言書の内容は以下のとおり。
 既存の「輸送時の動物保護に関する理事会規則(1/2005(EC)」において、と畜出荷される家畜を含む動物の長距離移動をできる限り制限すべきと規定されている。しかしながら、動物に対して、耐え難い苦痛や疲労、さらには死さえも引き起こす、かなり長い移動(距離、時間)が認められていることから、
1. と畜用に移送される家畜の移動時間を最大8時間とする規則の制定を要求する請願書「the 8hours」
  が約100万人のEU国民から支持されていることを勘案し、
2. 欧州委員会や理事会に対し、当該規則において、と畜を目的とした動物の移送時間を最大8時間と
  することの再検討を要求し、
3. 同議会議長は、この宣言書を、署名者リストと併せて欧州委員会や各加盟国議会に送付するよう指
  示した。

アニマルウェルフェア取り組みを強化

 EUでは、これまで、2006年1月に欧州委員会より公表された「2006〜2010年のアニマルウェルフェアの行動計画」に基づき取り組んでいたが、既報のとおりアニマルウェルフェアの取り組みを強化するため、同委員会が2012年1月に「アニマルウェルフェアに関する新戦略」を採択している(注)。これにより、包括的なアニマルウェルフェアに関する法律の提案や、既存の行動計画の強化などのアプローチを示している。今回の宣言は、この行動計画で示されている、2012年に実施予定の「動物の輸送時の保護に関する規則及びガイダンスの施行」を促進するものとみられる。

(注)海外情報「欧州委、新たなアニマルウェルフェアに関する戦略を採択」(平成24年1月26日)
【小林 奈穂美 平成24年3月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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