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欧州委員会、「2011年 EUの農業における統計的及び経済的情報」を発表

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 2012年4月11日に欧州委員会は、「EUの農業における統計及び経済情報 2011年3月」を公表した。(一部、2012年1月に発表している。【参考】平成23年1月16日「2011年の農業生産収入は前年に引き続き増加」を参照のこと 注)更新による数値に違いあり

総論

 2011年における農業生産収入は、前年比3.7%増加し、前年も10%伸びていることから2年連続で増加した。増収の要因は、農業生産量(同1.4%増)および価格(同5.7%増)の好調によるものであった。特に、畜産部門は畜産物価格高および出荷量の増加により同7.7%増となった。
 また、2011年は、農産物の貿易黒字がおよそ70億ユーロ(7770億円:1ユーロ=111円)となり2年連続の黒字となり、異例的な好調であった。主な輸出国をみると、米国が146億ユーロ(1兆6206億円、前年比8%増)、次いでロシアが105億ユーロ(1兆1655億円、同14%)、第3位がスイスで65億ユーロ(7215億円、同7%)となった。
 一方、輸入は、農産物の輸入額が980億ユーロ(10兆8780億円、前年比16%増)となり、主な輸入品は、「果実と香辛料」および「コーヒー、紅茶およびマテ茶」であった。主な輸入先国はブラジル(輸入額ベースでシェア14%)、次いで米国、第3位がアルゼンチンとなった。

牛肉部門概況

 2011年の肉牛飼養頭数は引き続き減少し、前年比2.3%減であった。減少幅が大きかった国は、ルーマニアおよびイタリアでそれぞれ同17.5%減、同6.3%減であった。牛乳・乳製品市場が好調であったことから、肉牛から乳牛に切り替わり頭数減少につながった。また、EUは純輸出国を維持した。輸入量は同10%減でとなったが、これは南米およびアフリカの牛肉生産の落ち込みによる。高品質牛肉は、無関税割当枠が拡大したことから、米国およびオーストラリアからの輸入が増加した。
 牛肉の消費量は年間一人当たり16.2kgでほぼ横ばいであった。生産者価格は若雄牛、去勢牛、乳牛および未経産牛で前年と比べて上昇した。特に若雄牛は、2011年3月以降徐々に上昇し、6月は枝肉100キログラム当たり333ユーロ(3万6963円)、12月に同380ユーロ(42,180円)と高値をつけた。

豚肉部門概況

 豚肉価格は、2011年も引き続き高水準で推移した。豚肉生産は規模化が進み、雌豚頭数は微減したが、生産量は増加傾向が継続し前年比1.7%増であった。2011年の輸出は異例的に好調な年であり、輸出量は300万トンを超え同20%増、域内生産の約12%を占めた。主な輸出国は、香港および中国で輸出量の30%を占め、次いで、ロシアとなった。一方で、豚肉の輸入量は3万6000トンとなり、前年比13%減となった。
 2011年の豚枝肉価格は100キログラム当たり153.2ユーロ(1万7005円)となり、前年より13ユーロ(1,443円)高くなった。また、民間在庫補助は、ドイツで発生したダイオキシンの問題による影響で2011年2月に3週間実施された。

牛乳・乳製品部門概況

 牛乳・乳製品部門は、世界的な需給ひっ迫を背景に2011年も引き続き好調であった。生乳出荷量が前年比2%増であったが、生乳価格は年間を通じて高水準で維持された。乳製品の価格も高水準で推移し、バターで同15%増、脱脂粉乳で同8%増、エダムチーズで同11%増となった。
 乳牛飼養頭数は同0.8%減であったが、1頭当たりの泌乳量が同1.9%増の6,431キログラムとなったため、生産量は同1.5%増の1億5140万トンに達した。
 チーズの生産は、同0.2%増とわずかに増加した。域内消費量は横ばいであったが、輸出量は同0.9%増の68万2000トンとなった。
 バターの生産は、同2%増の220万トンに達した。世界市場においてバター価格が高騰したため輸入は減少し、また、輸出も同22%減となった。域内消費量は同0.5%増とわずかな増加であった。
 脱脂粉乳の生産は、同13%増と大幅に増加し、104万8000トンに達した。特に輸出が同37%増と大幅に伸びた。2011年の補助として蓄えられていた9万4000トンの公的在庫が貧困者向け支援として全て放出された。
【矢野 麻未子 平成24年4月17日発】
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