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大手食肉パッカーJBSがブラジルの鶏肉生産に参入(ブラジル)

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世界第2位の鶏肉パッカーに

 世界的な大手食肉パッカーJBS社(本社:サンパウロ州)(以下、J社)は5月4日、ブラジルの鶏肉生産第3位となるDoux Frangosul社(本社:リオグランデドスル州)(以下、DF社)と契約を締結し、本拠地のブラジルにおいて鶏肉生産に参入することを発表した。2009年の国際金融危機の影響から経営不振が噂されていたDF社であるが、鶏肉部門についてはJ社に運営を委ねることとなった。
 今回の契約の具体的な内容は、(1)DF社の負債についてJ社は責任を負わないこと、(2)DF社の3カ所の鶏肉処理場を10年間リースすること、(3)DF社社員および養鶏生産者などはJ社と新たに雇用契約を行うこと―となっている。
 J社は今回、鶏肉生産に参入するため、JBS Ave Brasil(JBS Chicken Brazil)を創設。すでに鶏肉生産を行っている米国、メキシコおよびプエルトリコを含めJ社全体の鶏肉処理量は1日当たり900万羽にのぼり、鶏肉生産規模は世界第2位となる。

2年にわたる交渉の後、リース契約が成立

 現地報道によると、J 社は2010年よりブラジルで鶏肉・豚肉生産を行っているDF社と複数の食肉処理場の売却交渉を行ってきた。今回、鶏肉生産部門についてのみ10年間のリース契約が結ばれることとなった。
 リース契約の対象は、主要鶏肉生産地域である南部のリオグランデドスル州などにある3カ所の鶏肉処理場である。これらの処理場は今年4月より操業停止となっていたが、3社のリース料金から社員および生産者に対する未払給与などが支給されるため、近日中に、運転を再開するといわれている。
 今後、J社が買収する選択肢も残されているものの、そのためには、DF社自らが5億レアル(約200億円;1レアル≒40円)といわれる債務を解決する必要がある。なお、J社の支払うリース料金などにかかる費用は公表されていないが、現地では3億レアル(120億円)とも報道されている。

ブラジル養鶏連合は評価

 ブラジル養鶏連合(UBABEF)ツーハ代表は、買収の場合はDF社がブラジル本社とフランス本社でさらに交渉が必要となるため、養鶏生産者への支払滞納問題を早期に解決するためには、今回のリース契約が適当であると一定の評価をしている。さらにJ社はすでにブラジル国内で実績のある牛肉生産同様に、鶏肉生産でも今後、強い影響力を持つ可能性があるとコメントしている。

【参考】Doux Frangosul社概要

 ブラジルで第3位(処理羽数)のDF社は、リオグランデドスル州のパソフンド工場(処理能力:55万羽/日)、モンテネグロ工場(45万羽/日)およびマットグロッソドスル州のカラポ工場(16万羽/日)で主に鶏肉を生産していた。ブラジルのDF社はDouxグループの世界全体の売上のうち1割を占め、このうち7 割は輸出によるものであった。2008年以降、国際経済危機やレアル高の影響を受けた同社は減収が続き、従業員および生産者に対する支払の遅れなどが問題となっていた。
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【岡 千晴 平成24年5月10日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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