畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2012年 > 欧州委員会、2011年の農業貿易状況を公表 輸出額は過去最高

欧州委員会、2011年の農業貿易状況を公表 輸出額は過去最高

印刷ページ
 欧州委員会は2012年5月15日、「2011年農業貿易:EU及び世界」を公表。EUにおける2011年の農業貿易は、輸出額で過去最高の1050億ユーロ(11兆4450億円)となった。

EU、輸出金額で米国に肩を並べる

 EUにおける2011年の農業貿易は、輸出入ともに主要取引国で増加がみられるなど活発な動きとなった。EUからの輸出は前年比16%増の1050億ユーロ(11兆4450億円)、輸入は前年比14%増の980億ユーロ(10兆6820億円)、貿易収支は70億ユーロ(7630億円)と昨年から引き続き黒字となった。
 EUは、輸出額で米国と並ぶ輸出大国となる。2011年の輸出増は中国(香港含む)向けが大幅に伸びたことが要因である。また、輸入額では、EUは昨年に引き続き世界第一位となり、次いで米国、中国となっている。
1
2

冷凍豚肉が輸出増加に大きく寄与

 2011年の主要輸出品を輸出額ベースでみると、第1位はワインの61億ユーロ(6649億円)、第2位は加工食品の40億ユーロ(4360億円)、第3位はウィスキーの39億ユーロ(4251億円)となった。畜産物では、第6位に冷凍豚肉30億ユーロ(3270億円)、第8位にチーズ24億ユーロ(2616億円)が入っている。
 2011年の輸出額増加に貢献した品目は、ワイン、ウイスキーに次いで、冷凍豚肉であり、それぞれ、前年比1036百万ユーロ(1129億円)増、同842百万ユーロ(918億円)増、同712百万ユーロ(776億円)増となった。また、中国で需要の高い豚肉内臓も前年比383百万ユーロ(417億円)増と好調であった。このほか、牛乳・乳製品も好調で、牛乳およびクリームで前年比501百万ユーロ(546億円)増、固形牛乳およびクリームで同254百万ユーロ(277億円)増となった。主要15品目で、2011年における輸出額増加分のおよそ半分を占めている。
3

米国、ロシア、中国との貿易状況

 米国はEUにとって最も交易が盛んな国である。EUからの主な輸出品は最終製品(そのまま消費される形態に近い製品)が最も多く、金額ベースで70%を占める。最も多い輸出品目はワインで22億ユーロ(2398億円)、次いで、香気成分(飲料の香りづけなどに使用)が13億ユーロ(1417億円)、ビールが11億ユーロ(1199億円)となっている。対米貿易収支は60億円の黒字となった。
 ロシアはEUにとって米国に次いで金額ベースで第2位の輸出市場である。ロシアへの主な輸出品目は、生鮮果実、冷凍豚肉、チーズである。特に、生鮮果実のリンゴは、全リンゴ輸出量の30%を占めている。また、冷凍豚肉は大幅に増加し、輸出額で前年比32%増、輸出量で21%増となった。
 中国(香港含む)はEUにとって急成長市場である。対中輸出は輸出額で前年比49%増となり、49億ユーロ(5341億円)に達した。最も多く輸出している品目はワインであり、2011年も輸出数量で前年比80%増となるなど好調を維持している。また、主要品目である冷凍豚肉は、輸出額で3倍の伸びを示し164百万ユーロ(179億円)、輸出量では41%増となった。豚肉の内臓も2倍の伸びを示し輸出額で264百万ユーロ(288億円)となった。
【矢野 麻未子 平成24年5月17日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9805