畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2012年 > 1〜3月の豪州生体牛輸出頭数は大幅減

1〜3月の豪州生体牛輸出頭数は大幅減

印刷ページ

インドネシア向けは前年同期から2万頭以上の減少

 MLA(豪州食肉家畜生産者事業団)によると、2012年1〜3月における豪州の生体牛輸出頭数は、前年同期比で18.2%の大幅減となる14万9500頭であることがわかった。これは、最大の輸出先であるインドネシア向けの減少によるもので、同国向けは、同26.3%減の6万4900頭と、減少幅は2万頭を超える。
 インドネシア政府は、「2014年までに牛肉自給率を90%に」を目標に掲げ、2012年の生体牛輸入割当頭数を前年の52万頭から28万3000頭へほぼ半減させており、この影響がはっきりと数字に表れることとなった。
 

インドネシアの輸入割当量の現状とその影響

 インドネシア農業省によると、2014年の同国の牛肉消費量は、2011年比25.0%増の56万1600トンと予測される。政府は、同年にはこのうちの90%となる50万7100トンまで国内生産を引き上げ、残り10%相当分についてのみ、生体牛あるいは牛肉の輸入を許可する―と計画している。
 このため、生体牛および牛肉の輸入割当量について2010年から段階的に削減している。特に2012年には、生体牛の輸入割当を前述のとおり半減させただけでなく、牛肉についても、前年の8万トンから3万4000トンにまで大幅に削減した。(表2参照)
 

豪州北部では食肉処理施設建設の検討も

 豪州の生体牛輸出頭数の推移を見てみると、2012年1〜3月は、イスラエル、中国、ロシア向けなどインドネシア以外の輸出先の増加が目立つ。しかしながらインドネシアの減少分を補うことは難しく、ABARES(豪州農業資源経済科学局)は、中期的な輸出頭数について、「2016/17年度(7〜6月)は57万5千頭(2010/11年度比21.0%減)にとどまる」と予測している。こうした生体牛輸出頭数の減少によって、生体牛輸出の主要地域である豪州北部では、食肉処理施設の建設が検討されるなど、変化を余儀なくされている。
【前田 昌宏 平成24年5月25日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9806