畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2012年 > 豚肉価格の安定に向け、政府主導で冷凍豚肉の買入・備蓄を展開  (中国)

豚肉価格の安定に向け、政府主導で冷凍豚肉の買入・備蓄を展開  (中国)

印刷ページ
 国家発展改革委員会、財政部、農業部、商務部、国家工商行政管理総局及び国家品質監督検査検疫総局の6部門は共同して、5月11日に「緩解生猪价格周期性波動調控預案」(豚市場価格の周期的な変動を緩和する調整準備計画:2012年第9号公告)を発表した。
 中国では、旧正月以降、豚肉価格の下落(1/27:24.48元/kg→5/25:20.43元/kg 16.5%安)が続き、一部の地域の養豚農家の経営を圧迫している。政府は今回の計画に基づき、政府主導で冷凍豚肉の備蓄活動を展開するなどして、豚の生体価格及び豚肉市場価格の下落防止に努める意向だ。
 計画には、豚肉市場価格のモニタリングの整備や中央/地方政府の豚肉備蓄を通じた市場調整能力の向上などが盛り込まれており、この計画が豚肉価格下落の歯止めとなるか、今後の豚肉価格の動向に注視していきたい。主な内容は以下のとおり。

●『豚市場価格の周期的な変動を緩和する調整準備計画』(要約)

1.警戒指標
 状況を判断する際、『豚/穀物比』(豚出荷価格/トウモロコシ卸売価格)を基本指標とし、併せて繁殖雌豚飼育頭数の変化状況を参考とする。さらに豚の生産方式、コスト、需要の変化などの要素に基づき、指標を随時算定し、警戒の度合を数値化する。
2.調整目標
 主な目標として、豚/穀物比を6:1から8.5:1の間とし、二次目標として繁殖雌豚飼育頭数の前年同月比の変化率を−5%から5%の間とする。
3.警戒区域
 豚/穀物比において、6:1を下まわれば価格の過度な下落を防止する区域に入り、8.5:1を超えれば価格の急激な上昇を防止する区域に入ったものとして、各状況に応じて対応を執る。
4.各区域における対応
 (1)ブルーゾーンの場合 (レベル3対応)

 価格の上昇場面(豚/穀物比8.5:1超)においては、事前警告情報を発表し、国が豚市場価格を

適宜調整することを宣言。中央/地方政府の備蓄を放出する。下落場面(豚/穀物比6:1未満)に

おいては、事前警告情報を発表し、養豚農家が生産を合理的に調整するよう指導。中央/地方政

府の備蓄を増やす。
 (2)イエローゾーンの場合 (レベル2対応)

 価格の上昇場面(豚/穀物比9:1超)においては、備蓄の放出規模を増やし、下落場面(豚/穀

物比5.5:1未満)においては、備蓄規模を拡大する。
 (3)レッドゾーンの場合  (レベル1対応)

 価格の上昇場面(豚/穀物比9.5:1超)においては、引き続き残りの備蓄を放出する。下落場面

(豚/穀物比5:1未満)においては、引き続き備蓄規模を拡大するほか、財政金利補填政策の実

施や臨時飼育補助金を加算して支給する。
 

【山ア 博之 平成24年5月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9534