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2013/14年度のソルガム生産量、干ばつにより大幅な減産見通し(豪州)

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ソルガムは前年度比36.3%減

 豪州農業資源経済科学局(ABARES)は2月12日、2013/14年度(7月〜翌6月)の夏作物の生産見通しを発表した。これによると、ソルガムは、作付面積が49万2000ヘクタール(前年度比17.3%減)、生産量が127万8000トン(同36.3%減)と、大幅な減少が見込まれており、前回予測(12月)から見ても、さらに下方修正となった(表1、図1)。これは、主産地であるクイーンズランド(QLD)州南部やニューサウスウェールズ(NSW)州北部で、は種期間中の降雨不足による作付面積の減少に加え、継続する高温乾燥による土壌水分の低下、生育初期の降雨不足により、低単収が見込まれることによるものである。
 一方、綿実は、作付面積が39万2000ヘクタール(同11.3%減)、生産量が133万トン(同7.5%減)と、減産が見込まれるものの、かんがい地域での生産割合の増加から、単収は増加するとみられている。また、コメは、高単収を記録した前年度から例年の水準に戻るとみられており、作付面積は10万1000トン(同11.4%減)、生産量は90万7000トン(同22.2%減)とされている(表1)。
 夏作物はいずれも減産が見込まれているが、ABARESは、NSW州北部やQLD州の穀物生産地域で1月後半以降に得られた降雨が、ソルガムの作付面積の増加や、単収引き上げにつながる可能性についても言及している。
穀物 表1
図1
穀物 参考

冬作物は過去2番目の高水準も、東部州では減産

 一方、生産が終了した2013/14年度の冬作物の生産量について、ABARESは4395万6000トン(前年度比16.8%増)と推計しており、うち小麦は、過去3番目の2701万3000トン(同20.3%増)、大麦は過去2番目の954万5000トン(同27.8%増)とみている(表2、図2)。冬作物最大の生産州である西オーストラリア(WA)州の穀物地帯で春の生育期から収穫期にかけての天候に恵まれたことや、南オーストラリア(SA)州でも冬の降雨に恵まれたことが、増産の要因となった。ただし、干ばつが継続するQLD州では、小麦、大麦ともに2年連続の減産、NSW州では3年連続の減産となり、2013/14年度の作物生産は、州によってまちまちの結果となっている。
穀物 表2
図2

QLD州では飼料穀物価格が高騰

 現在、QLD州の穀物価格は、干ばつによる減産により、食用、飼料用のいずれも上昇傾向で推移している。特に、ソルガムや飼料用小麦は、国内の畜産業からの堅調な需要によって、製粉用小麦と同程度にまで高騰する状況となっている(図3)。同州は、肉用牛飼養頭数の約5割、フィードロット飼養頭数の約6割を占める肉用牛の主産地であることから、穀物価格高騰による同州のフィードロット産業への影響が懸念され、今後の穀物生産の動向が注目されるところである。
図3
【伊藤 久美 平成26年2月19日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391