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欧州委、アフリカ豚コレラ発生に対して市場措置を発動

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 欧州家畜食肉取引業者連合(UECBV)によると、欧州委員会は、1月24日にリトアニア、2月17日にポーランドで発生したアフリカ豚コレラ(ASF :African Swine Fever)により、ポーランド産豚肉価格が大幅に下落していることから、ポーランドの養豚生産者に対し特例的に市場措置を発動することを決定した。

 ポーランドは、ASF発生後、EU規則に基づき、感染地域からの豚肉出荷の停止など予防措置を実施している。一方で、ポーランド産豚肉はASFの影響により、大幅な価格下落となっており、ポーランド政府は欧州委員会に対し、市場措置の適用を求めていた。
 措置の内容は、以下の通り。

 ・ポーランドにおいて2014年2月26日から5月25日にと畜された豚を対象。
 ・補助対象数量の上限は20,000トン(枝肉重量)。最大補償対象重量は、枝肉重量1頭当たりで100キログラムまでとする。
 ・補助単価は100キログラム当たり35.7ユーロ(5,105円;1ユーロ=143円)とし、2014年8月31日までにポーランドの対象者に支給。また、補助金の50%をEUの共通予算から支出。
 ・ポーランドは、当該措置に関する全ての管理および物理的なコントロール、対象条件の遵守などを徹底して行い、欧州委員会に対して毎水曜日に報告を行う。
 ・欧州委員会は、市場の状況によっては、本措置の見直しを行うことができる。

地域的な輸入制限への移行を求める

 欧州委員会は、ASFの発生によりポーランド産豚肉の輸入禁止を発表している国に対し、EUが指定した地域のみからの輸入を停止する地域的な輸入制限に移行するよう求めている。
 特に、主要豚肉輸出先であるロシアは、ポーランドのみならずEU全体からの豚肉輸入を禁止しており、EUにとっては大きな打撃となっている。そのため、欧州委員会は、ロシアと協議を重ねているが、ロシア側の対応は変わっておらず、EUはWTO(世界貿易機関)に提訴する予定としている。また、その他の輸入国に対しても順次、地域的な輸入制限とするよう交渉を行う予定とされている。
【矢野麻未子 平成26年3月25日発】
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