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生乳クオータ制度廃止後の需給調整を目的に市場観測サイトを設置

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 欧州委員会は4月16日、2015年4月からの生乳クオータ制度廃止後に向け、牛乳・乳製品市場観測サイト(MMO: Milk Market Observatory)の設置を発表した。
 http://ec.europa.eu/agriculture/milk-market-observatory/index_en.htm

 これは、過去30年にわたりEUで運営されていた生乳クオータ制度の廃止後、域内の需給に見合った生乳や乳製品の生産が行われるよう、関連情報を欧州委員会のウェブサイトで提供するもの。具体的には、EUや世界の乳製品市場の動向、生産コスト、市場予測などのデータが提供される。
 欧州委員会では、MMOの情報は市場の透明性の強化につながると共に、政策決定の背景を十分に提供することで、酪農・乳業関係者の的確な判断を促すとしている。
 16日のサイト運営の開始にあたり、EUの酪農関係団体が欧州委員会農業総局に一同に会し、MMOの立ち上げ式を行った。欧州委員会のダチアン・チオロシュ農業・農村開発担当委員は「新たな共通農業政策(CAP : Common Agricultural Policy)では、バランスの取れた酪農部門の発展を確保するため、酪農関係者の役割を強化しているが、それには生産のみならず流通、販売など双方の正確なデータと分析が必要」とし、「今回のMMO設置は欧州委員会および加盟国の政策決定の重要な指標となる」と述べた。
 
 EUの生乳クオータ制度の廃止については、2008年に決定しているものの一部の加盟国から自国の生乳生産への打撃が大きいとして、延期もしくは生乳クオータ制度に替わる新たな制度の設定を求める声が依然として出ていた。今回のMMOの設置は、2012年の「ミルクパッケージ」に続いてこれらの意見に応えるものである。
 また、公開される情報については、流通および販売部門の双方から是非が検討されていた経緯があり、生産者と販売者双方にとってバランスが取れた情報の公開が求められていた。

※「欧州、共通農業政策(CAP)における酪農部門に新たな規則が発効」(平成24年4月12日発)
   http://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000587.html
【矢野 麻未子 平成26年4月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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