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米国、WTOのCOOL規則裁定に対し、上級委員会に異議申し立て

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 世界貿易機構(WTO)は11月28日、今年10月に米国の食肉の原産地表示(COOL)規則がWTO協定違反であるとした紛争処理小委員会(パネル)の裁定に対し、同日付で米国が上級委員会に異議申し立てを行ったことを発表した。上級委員会は、この申し立て後、原則として60日以内(最長90日)に報告を行い、その後30日以内にWTOの紛争解決機関(DSB)により報告が採択されることとなる。

 米国のCOOL規則については、メキシコやカナダがWTO協定違反として提訴しており、2012年6月に外国産が米国産に比べ差別的に扱われ不利益を被っているとの裁定が下された。これを受けて米国は、2013年3月にCOOL規則の改訂を行ったが、WTOのパネルは2014年10月、改めて違反であるとの裁定を下していた。

 今回の米国の異議申し立てに対し、カナダの国際貿易省および農業・農産食料省の両大臣は同日付で、「米国の対応に深く失望するとともに、この問題を解決するためには、対抗措置含め必要な手段を講じる」との声明を発表した。一方、米国内の食肉関係団体などからは、今回の異議申し立てに関し、今のところコメントは発表されておらず、状況を静観する姿勢となっている。

 今後、上級委員会で米国の申し立てが認められず、米国がDSBの採択に沿った履行措置を行わなかった場合、メキシコとカナダは、報復関税などの報復措置の実施が可能となる。カナダは、米国の農業と非農産品への報復措置として、生体牛、生体豚、牛肉、豚肉、チーズなど40品目近い米国製品を対象にすると公表している。なお、メキシコは、報復措置の対象リストを公表していない。

【平石 康久 平成26年12月3日発】
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