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米国農務省、農畜産物等の長期見通しを公表

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 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は、2月11日米国の農畜産物等の長期見通し(Long-Term Agricultural Projections)を公表した。この見通しによると、2015/16年度(9月〜翌8月)の米国のトウモロコシ生産量は前年比6.7%減の3億4150万トン(2443万トン減)と予測している(表)。減産の要因は、トウモロコシよりも収益性の高いソルガム、小麦や大麦などへの作物選択が進むことから作付面積が同3.2%減となったことや単収が例年水準をわずかに下回ると見込まれたことが挙げられる。USDAは2024/25年度には生産量が生産技術の改良などにより単収が増加し、4億トン近くに達するとしている。
 2015/16年度のトウモロコシ消費量は、前年並みの3億4912万トンと見込んでおり、食料等向けやエタノール向けや輸出向けがそれぞれ前年の水準を上回るものとみられている。用途別に見ると、食料等向けはコーンシロップやグルコースなどへの利用や食用以外で壁や紙の材料としての利用増加が見込まれている。エタノール向けは、当面、ガソリン消費増に伴いエタノールの混合量が増加すると見込まれることから増加見通しとされた。輸出向けは世界的な食肉需要の増加により米国産トウモロコシへの需要が今後も高まると見ており、同8.6%増と見込んでいる。また、今後の世界的な人口の増加による食料需要増により2024/25年度の輸出量は6400トンと大幅に増加するものとみている。
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2015年の牛肉生産量は減少する一方、豚肉は増産見通し

 USDAが同日に公表した畜産物の長期需給見通しによると、2015年の牛肉生産量は牛飼養頭数の減少により同3.2%減の1076万トンと減産見込みとなった。USDAによると、牛肉生産量の回復は今後、順調に牛群再構築が進んだとしても、2018年以降になるものと予測している。
 また、2015年の牛肉消費量は減産による牛肉価格の上昇により同3.7%減の1085万トンとされ、牛肉輸出量は、減産により2.8%減とわずかな減少が見込まれる。USDAは長期的に海外の牛肉需要は今後も増加するとみており、2024年の牛肉輸出量は160万トンへ達すると見込んでいる。
 一方、2015年の豚肉生産量は母豚頭数の増加や豚流行性下痢の影響が弱まり、離乳子豚頭数が増加するものとみられることから同4.2%増の1072万トンと増加見通しとなった。豚肉生産量は今後も増加傾向で推移するとみられ、2024年には1217万トンへ増加が見込まれている。
同年の消費量は増産により豚肉価格が低下するものとみられることから、同3.4%増の874万トンとされた。豚肉輸出量は堅調な需要が見込まれることから、同3.6%増の238万トンされ、2024年までに274万トンへの増加が見込まれている。
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【山神 尭基 平成27年2月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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