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欧州委、生乳クオータ課徴金に対する負担軽減措置を公表

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 欧州委員会は3月11日、2014/15年度(4月〜翌3月)において生乳クオータ(割当数量)を超過した生乳に対する課徴金の分割払いを認めることを発表した。
 EUでは、今年の3月末を持って1984年から開始された生乳クオータ制度が廃止される。本制度は、生乳の生産調整により乳価の安定を図ることを目的として導入された制度である。生乳クオータを超過した生乳には、100キログラム当たり27.83ユーロ(約1キログラム当たり36.18円:1ユーロ=130円)が課徴される。

 前年度(2014/13年度)は、生産者乳価が高かったことから生産者の増産意欲が高く、生乳生産は増産傾向で推移した。各国に割り当てられたクオータを超過した国は8カ国に上り、課徴金の額は、4億960万3000ユーロ(532億4839万円、1ユーロ=130円(2015年3月13日TTSレート))となった。クオータ制度最終年度となる今年度においても、前半は生産者乳価が高かったことから、増産傾向が継続し、クオータ超過が見込まれている。

 欧州委員会の提案は、希望する加盟国において、生産者に課徴金の3年間の分割払いとし、その利子を無利子とするものである。ただし、加盟国は、欧州委員会に対し、例年どおり11月30日までに、生乳クオータを超過した国に課せられた課徴金相当額を支払う必要がある。
 今回、欧州委員会が課徴金の負担軽減策を提案した背景には、昨年末以降、生産者乳価が下落し、クオータ廃止後の体制整備を進める中、キャッシュフローが著しく悪化していることがある。

 欧州委員会は、毎年9月1日までに各加盟国で集計される生乳生産量に基づいて、各加盟国別の超過量と課徴金を発表する。各加盟国は、10月1日までに各生産者から課徴金を徴収することになっているが、その際、希望する加盟国にこの提案が適用されることになる。今回の分割払いする加盟国の生産者は、2回目の支払日は、2016年の10月1日となり、3回目は2017年10月1日となる。
【中野 貴史 平成27年3月17日発】
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