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米国からの原種鶏輸入停止により、2016年には鶏肉生産量減少の恐れ(タイ)

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1 米国からの輸入停止により、今年前半の原種鶏輸入は大幅減

 タイ農業・協同組合省畜産局(以下「畜産局」という。)によると、2014年、タイは原種鶏を56万羽輸入しており、その内訳は米国が74%、英国が14%、フランスが6%、ニュージーランドが6%である。しかし、鳥インフルエンザの発生に伴い、2014年11月に英国およびオランダ、2015年1月からは米国の輸入を停止している。
表
 現地報道によると、英国は既に鳥インフルエンザ清浄国の復帰を宣言していることから、畜産局は近々に輸入再開を許可するとの見通しであり、英国に一部生産拠点を持っている米国原種鶏輸出企業から原種鶏を輸入することにより、米国からの輸入停止の影響を緩和させることが出来るとしている。
 また、大手インテグレーターは、米国産の代替として、ヨーロッパ、南米など他地域からの原種鶏の調達を検討しているが、今年1月から5月にかけて、タイは原種鶏をニュージーランドからごくわずかに輸入しただけである。今後、原種鶏の輸入を増やすことが出来なければ2016年7月頃から雛が不足し始め、来年のブロイラーの生産量は減少すると見ている。

2 米国の鳥インフルエンザによるタイ鶏肉輸出拡大の機会は限定的

 タイ鶏肉輸出業者協会は、米国の鳥インフルエンザ発生により、鶏肉輸出を拡大することが出来る輸出先市場はほとんどないと見ている。それは、米国の主要輸出先国はメキシコ、カナダなどであり、これらの国に対して、現在タイからの鶏肉輸出量はわずかであることを理由としている。
 米国の輸出シェアを奪える可能性があるのは日本市場のみであるが、米国から日本への輸出量はタイからの輸出量の10%程度である。日本以外の鶏肉輸出先である韓国、ロシア、シンガポールなどは、米国産と競合国しているブラジル産鶏肉に移行する可能性が大きいと見ている。
【中島 祥雄 平成27年6月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
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