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豪州政府、中国とのFTAに署名

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豪州政府、中豪FTA署名の成果を強調

 豪州政府は6月17日、2014年11月に大筋合意した中国との自由貿易協定(以下、「中豪FTA」)について、正式に署名したことを発表した。豪州外務貿易省によると、今回のFTAによる中国側の豪州産牛肉、乳製品の関税削減に関する概要は表1および表2のとおりとなっている。牛肉などは発効から10年目まで、主な乳製品は発効から12年目までには関税が完全に撤廃される。一方、牛肉および全粉乳については、輸入量が一定数量を超えれば、中国は基本税率(現行と同率)の関税の適用が可能となるセーフガード措置が設けられている。
 豪州農漁林業省は、中豪FTAの署名について、「中豪FTAにより、発効1年目の主要農産物における関税削減額は、1億8800万豪ドルに及び、豪州は主要な農産物輸出国である米国やEU、あるいは中国とすでにFTAを締結しているニュージーランドやチリなどとの競合においても、優位性の確保が期待できる。その結果、豪州の農家には重大な利益の向上がもたらされるであろう。」として、その成果を強調している。
表1
表2

農業団体も好意的な反応

 中豪FTAの署名について、豪州の農業団体も好意的な反応を示している。
 豪州全国農業者連盟は、「中国という最大かつ急速に成長する市場における豪州の農業の地位をさらに強固にし、豪州の農業界に数十億豪ドルもの利益をもたらすものであり、すばらしい成果である。」と歓迎の意思を示している。
 また、豪州肉牛生産者評議会も、「中豪FTAの署名により、豪州はいずれも牛肉の主要輸出先である、日本、韓国、中国との間で自由貿易協定を締結したことになる。これは、重要な進展である。」として、主要輸出先とのFTA(EPA)がもたらす牛肉輸出のさらなる拡大に期待を示している。
 さらに、豪州酪農産業評議会も、「乳製品の最大の輸出先である中国とのFTAの署名を歓迎する。幼児向け乳製品、チーズ、粉乳、飲用乳など主な乳製品の関税が完全に撤廃される真の意味での自由貿易である。」として、内容的にも酪農乳業界の要望を満たすものとなっていることから、高く評価している。

2015年内に発効の見込み

 豪州外務貿易省は、中豪FTAについて、「今後、両国内における法的手続きや議会の承認等が必要であるが、可能な限り早めに発効されるようにしたい。」としている。一方、豪州農漁林業省は、2015年内に発効される見通しを示している。
【根本 悠 平成27年6月30日発】
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