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欧州委員会、加盟国の特定危険部位の取扱いを軽減(EU)

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 欧州委員会は、牛肉の特定危険部位(SRM)の取扱いについて新たなルールの適用を公表し、8月5日から施行した。

 EUでは、2001年の牛海面状脳症(BSE)問題を契機に、同年、牛肉や羊肉の供給に当たって、枝肉から特定危険部位(SRM)を除去するとした規則が施行されてきたところであるが、国際獣疫事務局(OIE)のBSEの安全性格付け(BSEステータス)に合わせて、今回、一部改正されることになった。

 改正後の規則では、特定危険部位については、12カ月齢を超える牛の頭蓋、脳、せき髄を除き、OIEのBSEステータスの最上位である「無視できるBSEリスク」に認定された国においては除去する必要性はないとされた。これは、EUに輸入される同ステータスを得ている第三国の基準と同一になり、EUの食肉業者のみに課されていた負担が取り除かれたことを意味する。

 改正前の規則では、EU加盟国のうち、多数の国が「無視できるBSEリスク」のステータスを得た際には、この基準の変更を検討するとしており、今年の5月のOIE総会で新たに4カ国を加えて21カ国が当該ステータスに認定されたことから、2014年7月11日に公表された欧州食品安全機関(EFSA)のBSEに関する科学的調査報告などを受けて今回の措置となった(アイルランドは、5月に「無視できるBSEリスク」と認定されたものの、その直後に新たなBSEの発生が確認され、「管理されたBSEリスク」に降格された)。

 EU全28加盟国のうち、現在20カ国がこの最上位のステータスとなり、残りの8カ国(ドイツ、アイルランド、ギリシャ、スペイン、リトアニア、ポーランド、ルーマニア、英国)は、「管理されたBSEリスク」となっている。
 OIEのBSEステータスは、申請に応じて、飼料規制、BSEサーベイランスの実施状況などをOIEの規定に基づき科学的に評価した上で、(1)「無視できるリスク」、(2)「管理されたリスク」、(3)「不明なリスク」に分類される。
【中野 貴史 平成27年8月7日発】
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