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豪州産牛肉の米国向け輸出、関税割当数量に迫る

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豪州産牛肉の米国向け輸出、9月初めに無税枠の85%に達する見込み

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は、豪州の牛肉輸出の現状と見通しについて、以下の通り公表し(図)、豪州の高水準のと畜頭数および米国の輸入牛肉への強い需要により、2015年の豪州産牛肉の米国への輸出は過去に類を見ないペースで進んでいるとしている。
 MLAによると、米国は豪州からの牛肉輸入において、無税の関税割当を設けており、その2015年の数量は41万8214トンとなっている。このうち、37万8214トンは1995年のWTO協定、残りの4万トンは豪米自由貿易協定(FTA)に基づいており、8月21日現在、その消化率は82%(34万2956トン)となっている。
 同関税割当の輸出業者への分配は基本的に先着順に行われるが、輸入量が全割当数量の85%に達すると、残りの15%については、豪州農漁林業省が過去2年(今回は2012年11月1日〜2014年10月31日)の輸出実績に基づいて分配する。同省は、早ければ来週(8月31日〜9月6日)には、輸出実績に基づく分配を開始する予定であり、これは、2005年の豪米FTA締結以来初めてである。

今後は米国への輸出機会が狭まる可能性

 さらに、MLAは、関税割当の残りの15%は、売買が可能であり、輸出業者は、割当を有している輸出業者から購入できるとしている。この他、輸出業者の取り得る選択肢として、(1)残りの15%に係る豪州農漁林業省の分配手続き終了後、なおも割当数量が残されていた場合、その利用を申請すること、(2)2016年まで通関できずに保税倉庫で留め置かれることを承知の上で、2016年分の関税割当を申請すること、(3)関税割当枠外(21.12%の関税)で輸出すること−を挙げている。ただし、(3)の枠外で輸出する場合、輸入業者に追加の関税コストが生じるため、輸出業者に対し価格引下げを求めてくることになるとしている。米国では、輸入牛肉に対し強い需要がある一方で、価格優位性が薄れるとエンドユーザーへの販売に影響が出てくるため、MLAは、実際の追加関税相当分は、輸出業者と輸入業者で負担することになるとみている。併せて、今般の関税割当の分配により、割当のない又は少ない輸出業者は、年内の米国への輸出が困難になることが予想されるとしている。
図
【根本 悠 平成27年8月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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