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中国、10月1日より食品安全法を改正

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 中国国内での食の安全意識が高まった2009年に施行された「食品安全法」が、本年10月1日に改正される。中国国務院によると、主な改正点は次の通り。

食品安全法の主な改正点

(1)監督管理、許可の一元化
 これまで食品製造、流通、飲食サービスの各段階の監督管理、許可を行っていた国務院の4部門(品質監督部門、工商行政管理部門、国家食品薬品監督部門、衛生行政部門)が国家食品薬品監督部門に一元化。
 
(2)トレーサビリティの構築の義務化
 食品製造事業者および販売事業者に対して、トレーサビリティの構築を義務付けるとともに、トレーサビリティおよび食の安全を担保するための社内管理規定の整備を義務付ける。
 
(3)インターネット仮想店舗における食品販売事業者の実名登録の義務化
 インターネット仮想店舗プラットフォーム運営者は、プラットフォーム上で仮想店舗を運営する食品販売事業者に対して、実名登録させるとともに、販売食品種別により必要とされる許可証の確認を義務付ける。
 
(4)食品輸入の厳格化
 食品輸入者は、食品安全法や関連法令、輸入先国の食品衛生基準に合致しているかどうかの確認体制を構築し、確認されたものしか輸入できない。
 
(5)育児用粉乳に対する規制の強化
 育児用粉乳に対する規制も大幅に強化されており、育児用粉乳製造業者に対して、配合成分などの国家食品薬品監督部門への届け出および工場出荷時のロット検査が義務付けられる。また、育児用粉乳製造事業者は、すでに届け出した配合成分と同一の内容で他の育児用粉乳を製造することができなくなるため、OEM(注)製品の製造を行う場合、自社製品ですでに届け出した配合成分を用いることができなくなる。
 国務院は、今回の食品安全法の改正に併せて見直す「育児用粉乳の配合登録管理規定(試行)」についてパブリックコメントを実施したが、そこで示された同規定の改正案では、配合成分の届け出以外に、(1)育児用粉乳製造事業者が届け出できる件数の上限を5シリーズ15種類の配合に制限、(2)登録証の有効期限は5年で、届け出した配合成分を商品化していない場合、再届け出できない、といった規制内容も記されている。

注:委託者のブランドで製品を製造すること。
 
(6)処罰の厳格化
 無許可で食品や育児用粉乳の製造および販売を行った場合の罰金は、該当する食品の価値が1万元(1元=19円、19万円)未満の場合、これまで2000〜5000元(3万8000〜9万5000円)であったのに対し、改正食品安全法では、同5万〜10万元(95万〜190万円)に引き上げられる。また、1万元以上の場合の罰金は、これまでその価値の5〜10倍であったが、改正食品安全法では、同10〜20倍に引き上げられる。

【伊澤 昌栄 平成27年9月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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