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フォンテラ社、海外進出を相次いで発表

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 ニュージーランド(NZ)の最大手乳業メーカーのフォンテラ社は、東南アジア市場とアフリカ市場へ相次いで進出し、製造拠点の拡大を図っている。

(1)東南アジア最大規模の乳製品調製・包装工場、インドネシアで稼働

 フォンテラ社は9月9日、インドネシアの西ジャワ州、チカランに同社が建設した乳製品調製・包装工場が稼働を開始した、と発表した。同工場では、同社のブランド品である、Anmum(妊産婦向け飲料)、Anlene(成人向けの高カルシウム飲料)といった高栄養価の粉ミルクの製造を予定しており、生産能力は年間1万6000トン、1日あたり8万7000パックの出荷を予定している。同工場への投資額は3400億ルピア(3300億円)と、同社の東南アジア向け投資としてはこの10年で最大規模、同国向けとしては初となる。原料はNZ本国から調達し、当面はインドネシア国内市場向けの販売を行うが、その後は、東南アジア向け輸出にも力を入れるとしている。
 同社は、現在のインドネシアの乳製品消費量は東南アジアの中でもかなり少ないものの、2億5000万人近い人口を有し、中産階級も多いことから、同国の乳製品需要は2020年にかけて毎年5%ずつ増加するとしており、潜在的な市場価値に期待を寄せている。
 また、現地報道によると同社は、酪農家育成プログラムの実施も検討している。繁殖技術や酪農場経営について、NZの酪農家に3カ月程度住み込みで実地研修を行うというもので、インドネシア政府当局は、このプログラムによって酪農家が増えることにより、8割以上を輸入に依存している乳製品の自給率の向上につながるとして、大きな期待を寄せている。

(2)エチオピア乳業メーカーとの業務提携発表、アフリカ市場進出の契機に

 9月3日、エチオピアの乳業メーカーFaffa foods社(以下「Faffa社」)とフォンテラ社との間で合弁事業が立ち上げられると報じられた。実現すれば、フォンテラ社としては初のアフリカの一般消費者向け乳製品市場への進出となる。詳細はまだ明らかになっていないが、原材料はNZ本国から調達し、調製や包装といった最終工程をエチオピア国内で行う模様で、出資比率については、フォンテラ: Faffa 社=7:3程度になると見込まれている。
 Faffa社は1962年、エチオピアとスウェーデン政府の合弁により設立された会社で、エチオピアの児童の栄養不足を解消すべく、低コスト、高栄養価の離乳食を製造する食品メーカーである。度重なる増資により、資本金は6350万ブル(約3億6800万円、1ブル=5.8円)、生産能力は年間2万1600トンに達する、同国における食品加工産業の草分け的存在である。
 フォンテラ社は、同国はアフリカで2番目に人口が多いこと、経済発展が進んでいる一方で栄養失調も深刻であることから、アフリカ市場の中でも同社が製造している高栄養価の粉ミルクをはじめとする乳製品に対する潜在的需要が高いと見込まれるとしている。
【竹谷 亮佑 平成27年9月17日発】
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